スペース削減、効率化のための電子化導入のご相談が多った2021年度下半期
新型コロナ感染症の拡大に伴い急速に導入が進んでいるテレワーク。総務省の調べでは、大企業において7割~8割がテレワークを実施しているとの結果が出ています。テレワークが企業の間に浸透してきているのだと実感します。その一方で、「出社しないと成り立たない業務がある」という声も聞かれます。今も「押印するための出社」、「書類を見に行くための出社」など「紙」による弊害を感じられている方が多いのではないでしょうか。
そのような「紙」による弊害を解決するために、書類の電子化を検討されているお客さまからのご相談をよくいただきます。そこで、2021年度下半期に当社Webサイトに寄せられた問い合わせの中から、書類の電子化における課題や傾向をご紹介します。集計を行ったのは 対象書類、目的、部署 の3点です。もしかすると、その背景にみなさまのオフィスにも共通した課題がひそんでいるかもしれません。業務改善の参考にしてみてはいかがでしょうか。
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書類の種類は技術関係、契約関係、経理関係が多く、人事関係も増加
問い合わせの中で書類の種類が判別できた70件の内訳です。回答形式は複数回答です。
多くの回答が集まった書類の上位3つは以下の種類のものでした。
- 図面・技術資料などの技術関係書類
- 契約書・注文書などの契約関係書類
- 請求書・見積書などの経理関係書類
健診関係、人事書類など人事部門に関係するものも、合計すると次いで多いことが分かりました。
また「その他」の内訳は議事録、刊行物、新聞などでした。
図面や技術資料を電子化し、スペース削減と情報共有を図る傾向は続いた
図面などの技術資料についてはスペース削減と情報共有の問い合わせが同じくらい多いことが分かりました。
事務所のスペース削減や、テレワークの職員との情報共有を図るためだと思われます。
図面は、A0サイズなど、大型であるため、スペースを圧迫します。また、筒に入っていたり、平置きして重ねられたりしているため、取り出すのに手間がかかります。電子化すればPC画面で見られるようになるため、図面を電子化すると
- 保管スペースを削減できる
- PCで簡単に探せるようになる
- 出し入れによる劣化を防げる
といったメリットが得られます。
図面の電子化のお問い合わせの中には、古い図面を電子データで残して廃棄したいというものもありました。また、過去の図面や、文書が撮影されたマイクロフィルムの電子化の問い合わせもありました。
契約書を情報共有して業務を効率化する傾向も続いた
契約書を対象とした問い合わせの中には、業務効率化や情報共有を目的とするものが同じくらい多いことが分かりました。契約書を電子化して情報共有を図り、業務を効率化することが求められているようです。
例えば、契約書を電子化して、共有サーバーに保管する例です。営業担当者などの契約担当者が、契約状況を確認する際に、契約書の管理部門に照会をしなくても、自らPCを操作して確認できます。そのため、管理部門が契約書の「閲覧のための依頼」に対応する手間が省けます。このように、情報共有により各々の担当者の業務が効率化します。
また、「紙の契約書の、電子契約と同じシステムでの処理を可能にするために電子化したい」という問い合わせもありました。「紙を、電子データと一元管理するために電子化したい」というお問い合わせは請求書や納品書についてもありました。
電子化の目的で多かったのは“スペース削減”、“業務効率化”、“情報共有”
電子化の目的について回答いただいた71件の内訳です。回答形式は複数回答です。
最も多くの回答が集まったのはスペース削減(省スペース化)。次いで業務効率化、情報共有という結果になりました。
スペース削減のご相談内容
事務所移転やペーパーレス化のための電子化の問い合わせが多いことが分かりました。
それらの中には以下のようなお問い合わせがありました。
電子化後の廃棄も含めて依頼したい
電子化後の原本を倉庫に保管したい
電子化後、一部の不要な書類を廃棄するが、それ以外は倉庫に移管したい
廃棄予定の古い書類を念のため電子化して残したい
廃棄する書類を念のため電子化しておく場合、使用頻度が少ないため検索性を図る必要がありません。そのため、電子化の要件を緩和でき、コストを低く抑えることができます。
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電子データは探しやすく、システムで扱えるから業務効率が上がる
電子データにすると、図面や書類など紙だったものが探しやすくなります。
契約書などの、書庫で施錠管理下に置かれている重要文書も、PCで検索して、画面上で表示できるようにすれば、効率的に探せます。施錠管理をパスワードによる保護やアクセス制限に切り替えれば、電子化後も厳格に管理体制下に置けます。
また、電子契約や電子商取引、稟議書などのワークフローシステムの導入後に、一部の紙運用が残ることがあります。そのような場合に、紙部分の事務が非効率になってしまいます。紙を電子化(PDF化)して、システム化済みの分と同じプロセスで処理できれば、システムの作業効率を損なわずに業務をスピード化できます。業務のスピード化により、労働時間を短縮することにもつながります。
厚生労働省の白書「令和3年版 労働経済の分析」によると“月間総実労働時間は所定内労働時間を中心に減少傾向が続いて"います。背景には企業などが年次有給休暇、残業抑制に向けた取組みをすすめていることや、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の抑制が影響しています。短縮された労働時間で、以前と変わらないサービスを提供するために、業務の効率化を図ることが今後も求められていくと考えられます。
電子データは離れた場所からも閲覧可能!だから情報共有が進む
緊急事態宣言下で導入が進んだテレワーク。
夕方、紙袋に辞書くらいの厚みのファイルを入れて家に向かう人を見かけたことがあります。翌日は書類を持ち帰ってのテレワークなのだろうと想像します。
紙は電子化することで情報共有しやすくなります。共有サーバーに保管すれば、ネットワーク経由で離れた場所からもPCを使って見られるからです。そのため、テレワーク勤務時にも自宅から紙だった資料を見られるようになります。
総務省の「令和3年度 情報通信白書」によると、”我が国特有の課題"として、”テレワークが進まない要因の一つとして指摘されているのが、押印や書面を前提とした手続きの存在”です。”民間企業でも書面での契約書類の作成や押印行為のために出社せざるを得ずテレワークができない”といった課題が指摘されています。
また、テレワーク実施者およびテレワークを実施していない人に対して尋ねたところ、テレワーク実施にあたっての課題・障壁として22.8%が「会社に行かないと利用できない資料」を挙げています。
紙文化がテレワークの妨げになっています。
紙を電子化すれば、テレワークにおける情報共有に役立てられます。
総務・経理部門や経営戦略・事業開発部門からの問い合わせが多かった
問い合わせいただいた部署、84件に対する内訳です。回答形式は単数回答です。
問い合わせを多くいただいた上位3つは以下の部署でした。
- 総務・経理部門
- 経営戦略・事業開発部門
- 営業・顧客支援部門
総務・経理部門からの問い合わせの傾向
前述のとおり、請求書や見積書などの経理関係書類を対象とした電子化に関するお問い合わせが多く寄せられていました。電子帳簿保存法の改正を機に請求書や見積書、領収書などの国税関係帳簿書類の保管を見直す組織が増えていると考えられます。取引の記録がメールである場合には、今後こうしたメールの管理も課題になります。
また、個人ファイル(入社時の履歴書などの書類)や、健診データなど健康管理に関わる書類の電子化の問い合わせも増加傾向です。テレワークで見られるようにしたいというご相談や、事務所が移転のために手狭になるので電子化したいというご相談がありました。
こうした人事系の書類は従業員の個人情報であるため、物理的に自宅に持ち帰るのはリスクが高いです。書類を電子化しVPN経由やクラウドを利用して閲覧できれば、作業効率においても、リスク管理においてもメリットがあります。
その他に、稟議書や議事録の電子化についての問い合わせもありました。過去分を検索しやすくして効率化を図るためだと思われます。
経営戦略・事業開発部門からの問い合わせの傾向
契約書や図面、議事録や制作過程の記録といった様々な書類の電子化の問い合わせがありました。また、情報共有を目的とする問い合わせが多いことが分かりました。
まとめ
2021年下半期に電子化導入を検討された書類は、技術関係、契約関係、経理関係が多い傾向にありました。これは2021年上半期と同様の傾向でした。また、2021年下半期では人事関係の書類も増えてきています。
これらの書類の電子化には スペース削減や業務効率化、情報共有が期待されています。また、今回は総務・経理部門から最も多くのお問い合わせをいただいていました。電子帳簿保存法改正を機に、請求書などの国税関係帳簿書類の管理が見直されていると考えられます。
皆さまのオフィスでも以下のような問題を抱えていないでしょうか。
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このような課題がありましたら、電子化を検討してみてはいかがでしょうか。
当社ではまずお客さまの書類の利用や保管の状況を伺っています。課題を洗い出し、お客さまに最適な電子化の方法をご提案しています。
例えば「情報を一元管理したい」というご要望があった場合、書類の電子化だけでなく、属性情報の入力や管理台帳の作成、文書の廃棄、外部倉庫(当社が提携している倉庫)への移管にも対応いたします。
スキャニングサービスにおいて多く寄せられる質問も別ページでご紹介していますのでよろしければご覧ください。
書類の電子化のことでお困りでしたらお気軽に当社へご相談ください。
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