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電子化コストの費用対効果を高めるには?電子化のコストを抑える方法とともに解説

書類の電子化の外部委託を検討されている方にとって費用対効果は最も大きな関心事です。まずは書類の電子化の委託費用の相場を知りたい方も多いのではないでしょうか。あるいは、かつて書類の電子化の委託コストを算出したら思ったより値が張ると感じた方もいらっしゃると思います。そこで当記事では書類の電子化を導入したお客様の声から、費用対効果をまとめてみました。また、電子化の費用を抑える工夫についても解説いたします。

所属組織で電子化をすることは決まっているが、外部委託する場合の相場感が知りたい、あるいは費用によっては電子化の外部委託をやってみたい、という方におすすめの内容です。

目次[非表示]

  1. 1.電子化はどれくらい費用がかかる?
    1. 1.1.費用感を計算するためのステップ1 書類の量を把握する
    2. 1.2.費用感を計算するためのステップ2 ページ数(画像数)を把握する
    3. 1.3.費用感を計算するためのステップ3 電子化費用の構成を知る
  2. 2.電子化の費用対効果は?
    1. 2.1.保管コストの削減効果
    2. 2.2.時間コストの削減効果
    3. 2.3.プライスレスな効果
  3. 3.電子化費用の抑え方
    1. 3.1.必要な書類だけ電子化する
    2. 3.2.必要な項目だけ入力する
    3. 3.3.繁忙期を避ける、納期を長く設定する
    4. 3.4.注意!「自社でやる」の落とし穴
  4. 4.見積もりを依頼する際のポイント
  5. 5.まとめ:電子化コストの費用対効果を高めるために


電子化はどれくらい費用がかかる?


費用感を計算するためのステップ1 書類の量を把握する

書類の電子化の費用は、対象となる書類の量によって左右されます。そのためまず書類の大まかな量を把握することから始めてみてください。といっても、枚数を数える必要はありません。
普通紙ですと、1cmの厚さでおよそ100枚になります。ので、この枚数が一つの目安になります。

書類の計り方に「ファイルメータ―」という言葉があります。「ファイルメータ―」というのは、書類を積み上げたときの高さをメートル単位で測ったもので「fm」という単位で表します。積み上げた書類の厚みの和になります。例えば、高さが5mだった場合「5fm」というように表します。

ファイルメータ―の説明

書類が文書保存箱に収納されていたり、キャビネットに格納されていたりする場合には、もっと手軽に量を算出できる方法があります。

当社の経験からすると、書類の収容量はこのようになります。

  • 一般的な文書保存箱(幅約40㎝)の場合は1箱あたり3,000枚程度

また、キャビネットに書類がきっちり入っている場合、

  • キャビネット(幅90㎝)1段あたり5,000枚~6,000枚程度
  • 5段キャビネットならばキャビネット1台あたりだいたい25,000枚

したがって、対象となる書類の箱数、キャビネットの台数ファイルメータ―などをカウントすることによりおおよその書類の量を把握することができます。


費用感を計算するためのステップ2 ページ数(画像数)を把握する

公開されているスキャニング価格の単位が、各社で違っているのをお気づきでしょうか。会社によって「枚数」「面数」「ページ数」と異なっています。
ここで注意が必要な点は「"枚数"は"ページ数"ではない」 ということです。「枚数」は紙の枚数、「ページ数」は面の数です。両面印刷の場合は、

  • 1枚=表裏で2面=2ページ

ということになります。
一般的には、単位を「ページ数」として価格を算出する会社が多いです。両面印刷されている書類であれば、数量は、前の章で計測した枚数の2倍になるとお考えください。

また、公開されている価格や見積金額の単位が「枚数」となっている場合は裏面を含めて2ページ分の価格か確認した方がよいでしょう。


費用感を計算するためのステップ3 電子化費用の構成を知る

一般的に電子化の単価は、以下の作業項目から算出される費用で構成されています。

  • 準備整理作業
  • スキャニング作業
  • 画像検査作業
  • ファイル名の付与作業
  • 納品データ加工作業
  • 書類受取・返却、成果物納品

例えば、以下のようなものは手間がかかるため、単価が上がる要素となります。

  • クリアファイルや、クリアポケットタイプのファイルに書類が収納されている:紙の取り外しに工数がかかる。
  • ホッチキス、クリップ、付箋が多い:取り外しの件数が多いため工数がかかる。
  • A3など折り込まれている書類の混在が多い:折り込みを伸ばすのに工数がかかる。
  • 冊子(解体可):解体に工数がかかる。
  • 冊子(解体不可):ブックタイプの専用スキャナーで読み取るため、一般文書用のスキャナーより時間がかかる。
  • 書類が劣化している、紙が薄い:補強してから読み取りを行う必要があるため工数がかかる。
  • ファイル単位が1ページずつ:ファイル名を付与する件数が多くなるため工数がかかる。
  • フォルダ階層が深い:電子データのフォルダ階層を深くすればするほど(エクスプローラーのツリー構造を深くすればするほど)、フォルダを作成する件数が多くなるため工数がかかる。
  • 書類の復元(原状復帰):ホッチキスやクリップ、付箋を元の位置に戻すため工数がかかる。
  • 高い解像度を希望:解像度によってはスキャナーの読み取り時間がかかり、1日に処理できる枚数が少なくなる。

書類の状態や状況、電子化の仕様により、手間のかかる度合いが異なり作業にかかる時間が異なるため、価格も変動します。見積もりを依頼する場合は、「見積もりを依頼する際のポイント」をぜひご一読ください。
「見積もりを依頼する際のポイント」を見る


電子化の費用対効果は?

書類の電子化により削減できるコストは書類の保管コストと、書類を探すための時間コストです


保管コストの削減効果

保管スペースを削減することにより、削減したスペースの家賃を削減できます。
モノクロのPDFファイル(50㎅/ページ)の場合、5段キャビネット3.5~4台、または文書保存箱 約20~30箱分の書類を、DVD(4.7GB)1枚に収納できます。

(カラーのPDFファイルの参考値:250KB~300KB/ページ)

キャビネットの奥行きが40cmの場合、書類の出し入れのために手前1m程度の空間も占有することを加味すると、キャビネット1台あたり0.38坪を占有していることになります。
仮にオフィス賃料の坪単価が18,000円/月だった場合、

  キャビネット1台分の年間賃料:0.38坪×18,000円×12カ月=約82,000円

キャビネット3台分を電子化すると、約246,000円を削減できます。

<電子化と倉庫保管、どっちが安い?>

電子化の費用と、外部倉庫の保管費用を比較すると、短期的に見れば倉庫保管の費用の方が安くおさまります。しかし、「使うか使わないかわからないからとりあえず倉庫に入れておこう」という場合や、保管期限を設けずに倉庫に移管してしまう場合は、長期間保管することになり、結果的には倉庫保管の方が、コストがかかってしまいます。書類の利用頻度によって電子化と倉庫保管をうまく使い分けましょう。


時間コストの削減効果

必要な書類を短い時間で取り出せるようになるため、時間コストが削減できます。書類の検索にかかる時間は1日1人平均20分とも30分とも言われています。例えば、20人の職員の検索時間を1日20分削減できるとしたら、時給2,000円(33円/分)の人の場合、年間で

  20人×20分×33円(/分)×240日=約317万円

これだけの時間コストを削減できます。

さらに書類を探すために誰かに尋ねたり、保管しているキャビネットの鍵のありかを教えてもらったりといったことで、他の職員の時間を奪わないというメリットもあります。紙ゆえのファイリングの手間郵送の手間がなくなる、といった効果も期待できます。
これらのように時間短縮が見込めるすべてのプロセスについて、効果を足し合わせて考えます。


プライスレスな効果

電子化された書類を使うとことにより思いがけない二次的な効果を得られる場合があります。

  • スペースの有効活用!

  執務室の保管スペースをミーティングスペースやフリースペースとして活用することができます。
  最近でWEB会議用の個人ブースや集中ブースにしてもよいでしょう。
  社内外のコミュニケーションが円滑になったり、仕事への集中力がアップしたりすることにより、業務の質の向上につながります。

  • 業務プロセスの効率化! 

  無駄な検索時間がなくなることにより、業務に集中できます。
  また、書類の検索スピードが上がれば顧客からの問い合わせに迅速に対応できるので、顧客満足度の向上につなげることができます。
  データをリモートからアクセス可能な共有サーバーに保管すれば、テレワークや、離れた事業所の職員との情報共有がしやすくなります。
  また、同時に複数の人が閲覧することもできます。

  • セキュリティの確保! 

  データにはアクセス制限などのセキュリティ設定を厳格に設定できるのでセキュリティ管理がしやすくなります。
  また、書類を見る度にキャビネットから出し入れしなくてよくなるので紛失リスクが大幅に軽減されます。

  • BCP対策の強化! 

  電子化したデータは全く同じコピーを作成することができます。
​​​​​​​  コピーデータを別拠点に保管したり、原本と電子化データを別拠点に保管したりすることにより、BCPに役立てることができます。

書類の電子化の費用対効果


電子化費用の抑え方

書類の電子化には多くのメリットがあります。ですが、対象の量があまりにも多いと、高額な費用になってしまうことがあります。そこで、費用を抑えて、電子化の利便性を享受する、コツをご紹介します。


必要な書類だけ電子化する

効率化の効果が高いのはよく使う書類です。電子化の対象を利用頻度の高い期間や、利用頻度の高いカテゴリの書類に絞ってみましょう。アメリカの国際記録管理協議会(National Record Management Council) が行った統計によりますと、事務員が書類を作成後に使用する頻度は半年過ぎると10%、1年を過ぎると1%になります。(ナレムコの法則)。

利用頻度が低い「古い書類」は電子化せず、保管台帳を作成するなどして所在管理を行い、必要に応じて原本を閲覧するという運用が良いでしょう。

電子化する書類の判断基準や書類の電子化の進め方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

►紙文書を電子化したいが何から手をつければよいのかわからない方向け、電子化を進める5つのポイント



必要な項目だけ入力する

当社にご相談いただきましたお客さまの中では検索性を高く追及されているケースが多いです。ですが検索のための要望が細かいと見積もり額が高くなってしまいます。例えば「1ページ単位で探したいから1ページずつファイルを分けてファイル名は書類名と取引先名と日付を入れたい」という場合です。
この場合、ページ数だけ

  • 書類名
  • 取引先名
  • 日付

をパンチ入力するため、それなりの費用がかかります。対象の書類を電子化した後に、そんなに費用をかけるほど閲覧するのかどうかよく考えてみてください。もしも月に数回程度の使用頻度なのであれば、「月単位で1つのファイル」にし、ファイル名を「年月」にすることで、単価を抑えることができます。

また、「インデックス(仕切り紙)ごとにファイルを分けて、ファイル名はインデックスのガイドに書かれたものを入力してほしい」という要望がある場合、インデックス(仕切り紙)の数だけ、ファイルが発生しファイル名を入力するという作業が発生します。仕切り紙からの入力は、電子化した画像からの入力ほど、作業効率がよくないので、より割高な入力作業費となり、これを発注者が負担することになります。このような場合では、1冊を1マルチファイルにして、「目次から必要な情報を探す」といった使い方が可能なのであれば、検討してみるとよいでしょう。


繁忙期を避ける、納期を長く設定する

年度末は予算消化のために依頼が集中するため、費用が高くなってしまう場合があります。また、代行会社の許容能力に対して納期が短い場合も費用は上がってしまいます。

書類の電子化を外部委託する場合は、ぎりぎりのスケジュールではなく余裕を持って計画しましょう。


注意!「自社でやる」の落とし穴

自社で書類の電子化を行うことにした場合、「日常業務の合間に」作業を進めることになるのではないでしょうか。しかし「手が空いたら少しずつやっておこう」という姿勢では作業は進みません。そもそも手は空かないからです。

書類の電子化作業は、手間がかかります。

  • 2穴ファイルなどのファイル用具から書類を取り出す
  • クリップを外す
  • 複合機で読み取る
  • 正常に読み取れているか画像確認する
  • ファイル名つけて指定の場所に保存する
  • 書類を2穴ファイルなどのファイル用具に戻す

このような工程があり隙間時間ではほとんど進みません。まとまった作業時間をしっかり確保して進める必要があります。

社員の方が作業をするのではなく一時的に派遣スタッフを採用する方法もあります。しかし教育に時間がかかりますし、やはりプロではないので実際には「あまり進まなかった」という声もうかがっています。業者なら専用の機械(中速機や高速機)でプロがやるため早く処理できるのです。

外部委託は費用がかかりますが、内製化は手間時間がかかります。


見積もりを依頼する際のポイント

2つの書類を比較する人

見積もりを依頼する際のポイントを2つご紹介します。

  1. 書類の状態や状況をなるべく詳しく伝えてください。これまでに述べてきた通り、書類の状態や状況により金額が大きく変わることもあります。量が多い場合や、図面などの特殊な紙の場合は、業者によっては現地調査してくれるところもあるので確認してみてください。
  2. 「電子化」費用に含まれる項目を提示するように依頼してください。業者によって費用に含まれる作業項目が異なります。

また、電子化の外部委託は見積もり以外に重要なポイントがあります。
書類を外部に預けるということは、大切な情報資産の紛失や、個人情報漏えい…といったリスクも含んでいるということです。業者を選定する際には以下のような項目を確認しましょう。

  • 検査の有無(どんな検査をするのか検査項目までわかるとなお良いです)
  • 第三者委託を行うか
  • 作業は国内か
  • セキュリティ(例えばPマークやISO/ISE27001などの取得)

また、相見積もりを行う際は、比較対象とする業者間で条件(仕様)をあわせることが重要です。このとき、以下のことに注意してください。

  • 電子化したい書類の状態や数量など明示すること

  数量や、ホッチキス・クリップの割合、紙の状態などによって概算費用と実際の費用では大きく変わることがあります。
  例えば、ホッチキスで留められている量が「多い」とした場合、人によって「多い」の量が異なります。
  そのため量や割合など具体的な数値で示すことが重要です。

  • 数量の単位を統一すること

  書類の裏面に印字があり、これも電子化の対象とする場合は1枚が2ページになるので、「枚」と「ページ」を混同しないよう注意が必要です。

  • 見積項目を統一すること

  同じ用語でも、会社によって意味するものが違う場合もあります。
  仕様について代行会社と正しく共通認識ができているか確かめましょう。
  業者に費用を尋ねると
仕様を全く確認しないで、「一枚〇円」とだけいわれるケースもあります。
  の場合は必ず前提条件を確認し、不足している項目は条件に追加してください。


書類の電子化の価格の比較説明


まとめ:電子化コストの費用対効果高めるために

外部委託をする際、書類の電子化の大まかな予算感をつかみたいならまず書類の量を把握しましょう。
​​​​​​​そして費用を抑えるためには次のような工夫をしてみましょう。

  • 必要な書類だけを電子化する(利用頻度の高い期間や、利用頻度の高いカテゴリの書類など)
  • 必要な項目だけ入力する(閲覧頻度が高くない場合は目次から必要な情報を探すといった工夫する)
  • 繁忙期を避ける
  • 納期はぎりぎりのスケジュールにせず、計画的に行う

費用対効果は省スペース化業務のスピード化プライスレスな効果が見込めるときに高くなります。




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