自社で電子化するか、外部委託か?メリット・デメリットを解説
「書類を電子化することにしたのですが、自社で行う場合と外部委託する場合のメリット・デメリットは何ですか」というご相談を受けることがあります。当記事では、書類を電子化することが決まっていて
- 自社で電子化作業を行うか
- スキャニング代行会社に委託して行うか(外部委託)
ご検討中の担当者さま向けに、書類の電子化を自社で行う場合と外部委託する場合のメリット・デメリットについて、解説いたします。
目次[非表示]
- 1.自社作業と外部委託の特性
- 1.1.自社で行う4つのメリット
- 1.2.自社で行う4つのデメリット
- 1.3.外部委託の4つのメリット
- 1.4.外部委託の4つのデメリット
- 2.自社での作業と外部委託の併用
- 3.自社での作業や外部委託を始める前に押さえておきたいポイント
- 3.1.自社で電子化を行うコツ
- 3.2.外部委託をするうえで注意したいこと
- 4.まとめ
自社作業と外部委託の特性
自社で電子化する場合と外部委託する場合のメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット |
デメリット |
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自社で電子化する場合 |
外部委託の費用がかからない ノウハウが蓄積される 書類が社外に出ない スケジュールの調整がしやすい |
設備+スタッフ雇用の費用がかかる
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外部委託する場合 |
設備+スタッフ雇用の費用がかからない
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委託費用がかかる
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自社で電子化する場合と外部委託する場合のメリット・デメリットを理解したうえで自社の状況に照らし合わせて検討することが重要です。
自社で行う4つのメリット
外部委託の費用がかからない
委託費用がかかりません。「直接コスト」を抑えられます。
ノウハウが蓄積される
作業の仕様を決めたり、工程を組み立てたりすることにより電子化の作業のノウハウが蓄積されます。日々の修正や変更を重ねていくことで、ノウハウが蓄積されます。
書類が社外に出ない
書類を持ち出すことがないため、物理的な移動がなく、漏えいリスクを抑制できます。
スケジュールの調整がしやすい
自社内で完結するため、代行会社の選定や契約の手続きなどに時間がとられません。また、社内調整だけですむので、作業日程を自由に組みやすいです。
自社で行う4つのデメリット
設備+スタッフ雇用の費用がかかる
スキャナーなど機材の購買や保守に費用がかかります。また、適切な人材がいなければ、新たに雇用する費用がかかります。
運用の手間が生じる
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作業にかかる手間
- 作業の仕様を確定し、工程を組み立て、手順をマニュアル化する手間がかかります。
-
人手にかかる手間
- 作業するスタッフを新たに雇用する場合、労務管理の手間が生じます。また、スタッフを教育する手間と時間がかかります。スタッフが離職した場合は、新たなスタッフへの再教育が必要になります。
社内のノウハウが全くない状態から書類の電子化を行う場合、大変手間がかかります。ジェイ・アイ・エムでは、電子化するためのドキュメントセンターの設立を支援するサービスをご提供しています。
►ドキュメントセンター設立支援サービス
時間がかかる
電子化作業は、ただ紙をスキャナーにセットしボタンを押すというだけの作業ではありません。
- 書類ををスキャナーにセットするための準備
- スキャン後の画像検査
- ファイル名の付与
- 格納場所への保存
- 書類の後整理
など多くの工程があります。経験のない人が作業を行う場合は人手と時間がかかります。例えば、1冊の契約書を1つのPDFファイルにする仕様でスキャナーで読み取る場合を想定します。1冊のうち1ページだけ飛ばして読み取ってしまった場合は、スキャニング作業をやり直さなくてはなりません。このように、ミスのリカバーにも時間がかかります。
書類の電子化の作業期間については別記事で詳しく解説しています。
►事例から紐解く!紙文書の電子化に必要な期間とその要因
品質が低くなりがち
仕様どおりに電子化するためには、徹底した教育と作業に慣れるまでの長い時間が必要です。現場部門で自前で電子化するなど、専任ではない場合は特に仕様の徹底が難しくなります。
- 忙しいから、マニュアルを作っても読んでもらえない
- マニュアルを読んでいないから、ルールどおりにファイル名が付与されていない
- スキャンしていないページがある
- 書類の端が折れていて、読めない部分がある
といった事象が発生する可能性があります。データの検索が困難になる、電子化した画像が読めないなど、業務上の支障が発生しかねません。
書類の電子化における品質について別記事でご紹介しています。
►書類の電子化:価格だけでは見えない“品質”の大切さ
外部委託の4つのメリット
設備+スタッフ雇用費用の費用がかからない
外部委託のため、スキャナーなどの設備を購買する必要がありません。また電子化作業のためのスタッフを雇い入れる必要もありません。
作業にわずらわされない
電子化作業のみならず、作業の仕様確定や工程の組み立て、手順のマニュアル化など面倒な手間がかかりません。また、スタッフの雇用や労務管理などの手間もありません。
作業にわずらわされないため、社員の方は本来業務に傾注できます。
短い期間でできる
長年のノウハウにより効率化された流れで作業が行われます。また、専門の機材を使ってプロが行うため、処理能力が圧倒的に異なります。
高品質
作業はプロが行うため、高品質の電子データが作成されます。また、用途に合わせた仕様で電子データを作成できます。
- 書類の状況や用途に適した解像度
- 検索しやすいフォルダ階層・ファイル名の設定
- サーバーの容量を考慮したファイル形式・カラー・解像度
など適した仕様で作業を行います。代行会社の専門知識で高品質を実現できます。
外部委託の4つのデメリット
委託費用がかかる
スキャニング代行会社への委託費用が「直接コスト」として発生します。電子化を依頼する際の「データ入力項目」などの要件が多いと、委託費用は増す傾向にあります。
書類の使い勝手に応じて費用対効果を高めるコツについては別記事でご紹介しています。
電子化コストの費用対効果を高めるには?電子化のコストを抑える方法とともに解説
ノウハウが蓄積されない
作業にわずらわされないメリットがある反面、自社内に電子化の作業のノウハウが蓄積されません。
スケジュールの調整がしづらい
代行会社の選定や契約の手続きなどに時間がとられるため、始めたい時にすぐに開始できません。また、電子化したデータをすぐに見たいと思っても、納品されるまで使うことができません。
外部委託でもすぐにデータを使いたい場合や、作業期間・納期を短縮したい場合は、以下のような方法があります。
-
納品回数を分割する
対象書類に優先順位をつけて、先に必要な分が納品されるような順番で作業を依頼します。 -
アップロード納品
電子データを物理的に納品してもらうのではなく、データで受け取ったり、システムに直接アップロードしてもらったりすることで、納期を早めることが可能です。
社外に書類を持ち出す必要がある
代行会社で電子化するため、書類を社外に持ち出す必要があります。書類を社外に持ち出すことのみが問題なのであれば、書類を社外に搬出しないで代行会社の出張サービスを選択するという方法もあります。
自社での作業と外部委託の併用
書類の電子化を内製化で行うか、外部委託によって行うかは自社にとっての具体的なメリットとデメリットを洗い出したうえで検討しましょう。場合によっては完全な内製化ではなく、一部を外部委託にするという方法もあります。例えば、以下のように内製化と外部委託を併用するとよいでしょう。
- 「過去分は委託して、新規分は内製化にする」など、書類が作成される時期によって分ける
- 「日次で発生する少量の書類」は内製化して、大量に発生する書類は外部委託にする」など使用頻度や量によって対象文書を分ける
自社での作業や外部委託を始める前に押さえておきたいポイント
書類の電子化の内製化や外部委託についてのコツや注意点を紹介します。
自社で電子化を行うコツ
書類の電子化の手順は以下の4段階あります。
- 電子化前の準備
- スキャニング作業
- 電子化後の整理
- 台帳との突合作業
これらについて、紙の契約書を電子化する手順の一例を別記事でご紹介しています。
契約書スキャンのプロが教える!失敗しない電子化のコツと効率的な手順
電子化前の準備から、台帳との突合作業について詳しく記載しています。契約書を例に紹介している手順ですが、
- 「契約書」を対象書類に
- 「契約番号」を「検索キーに用いる番号(例えば社員番号)」などに
読み替えれば、さまざまな書類に応用できます。
書類の電子化を自社内でできるのかどうかを迷ったら、少量の書類で始めてみて効果を比較してみる方法もあります。
自社で電子化を行う際の注意点
書類の電子化の効果は、書類が探しやすくなって見やすくなることです。しかし、品質が低いと、データの使い勝手が悪くなってしまいます。
内製化で電子化を進める際に起こりがちな品質低下について、以下にまとめました。
- 検索しづらい
- ファイル名がルールどおりに付与されていない⇒例えば、「日付_会社名」というルールなのに、「会社名_日付」というファイル名が作成されている。法人格が省略されている。西暦・和暦や桁がルールどおりになっていない。
- ルールどおりにフォルダに格納されていない⇒例えば、見積書は「見積書」フォルダに格納するルールなのに、「取引先」フォルダに格納されている。
- 画像が判読しづらい・判読できない
まがり、汚れが生じている、冊子の製本の影が大きい
紙の端が折れたままスキャンされている
天地さかさま、画像の向きが正しくない
表面など印字面がスキャンされていない(印字のない裏面がスキャンされている)
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作業もれがある
スキャンされていないページや、1件まるごとスキャンされてない書類がある
外部委託をするうえで注意したいこと
電子化の対象となる文書が社外秘の文書の場合、代行会社のセキュリティ管理体制にも注意が必要です。
自社規定で対象書類の取り扱いが定められているのであれば、代行会社のセキュリティ管理体制が要件を満たしているかどうかを確認しましょう。書類の社外への持ち出しが難しければ、代行会社に社内で出張作業をしてもらう方法もあります。
代行会社のセキュリティ管理体制について別記事で解説しています。
スキャニング代行会社に書類を預けて大丈夫? 安心・安全な会社を選ぶ3つのポイント
まとめ
書類の電子化を社内のスタッフや設備を用いて行うと、委託コスト、ノウハウの蓄積、などの面でメリットが生じます。一方で、運用やスタッフ雇用や設備・環境などの準備を自前でやらなくてはならいないというデメリットが生じます。書類の電子化を外部委託で行うと、初期投資が不要で、作業にわずらわされず、短納期で高品質なデータを得られます。しかし、委託費用がかかり、ノウハウが社内に蓄積されません。
自社で電子化する場合のメリット
外部委託する場合のメリット
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自社の状況が、自社での電子化と外部委託のどちらに向いているのか、それぞれのメリットやデメリットを踏まえ検討してみてください。
当社ではまずお客さまの書類の利用や保管の状況を伺っています。課題を洗い出した上で、お客さまに最適な電子化の方法をご提案しています。
書類の電子化サービスだけでなく、お客さまのドキュメントセンター(自社で電子化を行うセンター)設立の支援にも対応しています。
書類の電子化のことでお困りでしたら当社にご相談ください。