2022年度上半期は契約関係、技術関係書類の紙を電子化して、ペーパーレス化によるスペース削減や業務効率化を図るお問い合わせが多かった
昨今、紙による事務処理のペーパーレス化が注目されています。
非効率な紙の処理を減らして効率化を図ったり、場所にとらわれない働き方を実現したりするためです。その背景にはコロナ禍で増えたテレワーク環境の向上が求められていることもあります。
——国土交通省が令和4年3月に公表した調査結果では、自営業者・被雇用者ともに27%程度の就業者がテレワークを実施していました。一方でテレワーク普及のために勤務先で必要な取り組みとして回答者の24.1%がペーパーレス化などのテレワーク環境の整備を挙げています。——
当社も、ペーパーレス化の実現などのために書類の電子化を検討されているお客さまから、多くのお問い合わせをいただきます。そこで、2022年度上半期に当社Webサイトにいただいた問い合わせの中から、書類の電子化における課題や傾向をご紹介します。集計を行ったのは対象書類、目的、部署の3点です。これからご紹介する書類の電子化にまつわる課題の中に、みなさまのオフィスにも共通した業務課題があるかもしれません。
業務改善の参考にされてみてはいかがでしょうか。
目次[非表示]
書類の種類は契約関係、技術関係が多かった
問い合わせの中で書類の種類が判別できた74件の内訳です。回答形式は複数回答です。
多くの回答が集まった書類の上位3つは以下の種類のものでした。
- 契約書・注文書などの契約関係の書類
- 図面・技術資料などの技術関係の書類
- 請求書・見積書などの経理関係の書類
健診関係、人事書類など人事部門に関係するものも、合計すると次いで多くなりました。そのほかに名簿や申請書の相談も数件ありました。
また「その他」の内訳は議事録、マニュアル、アンケート、社内報、広報でした。
契約書の電子化の問い合わせ内容
契約書の電子化についてはスペース削減や業務効率化を目的とする問い合わせが多く見受けられました。例えば、
- 電子契約システムの導入に伴い、過去分の紙を電子化してペーパーレスで一元管理したい
- 事業所のレイアウト変更のために契約書をペーパーレス化して書庫スペースを削減したい
という問い合わせがありました。
ペーパーレス化の効果が最も高くなるのは使用頻度の高い文書です。特にオフィスの移転やレイアウト変更においては、スペース削減効果も得られるため、契約書のペーパーレス化を導入されるお客さまが多いようです。
契約書の電子化のご相談では、紙以外にも過去に作成されたマイクロフィルムの電子化に関するものもありました。
図面や技術資料の電子化の問い合わせ内容
図面などの技術資料を電子化する目的として最も多かったのは、スペース削減でした。スペース削減のご相談の中には、オフィスの移転による保管スペースの不足という課題が多く見受けられました。その他に図面の電子化における課題として挙がっていたのが業務効率化です。
図面は、A0~A2サイズなどの大型であるため、スペースを圧迫します。また、平置きして重ねられていたり、巻かれて筒に入れられたりするなど、取り出しづらい状態で保管されています。図面を電子化すれば、PC画面で見られるようになります。そのため、保管スペースを削減できるだけでなく、出し入れによる劣化を防げて、PCで簡単に探せるようになります。
電子化の目的は“スペース削減”、“業務効率化”が多かった
電子化の目的について回答いただいた48件の内訳です。回答形式は複数回答です。
最も多くの回答が集まったのは前回と同様、スペース削減。次いで業務効率化、情報共有という結果になりました。
一方で、前回はなかった環境対策も挙がりました
書類の電子化の環境負荷軽減効果書類の電子化による環境負荷を減らす効果として
が考えられます。 平成20年に総務省が開催した「地球温暖化問題への対応に向けたICT政策に関する研究会」において、ペーパーレス化に取り組んだ企業や組織の環境負荷を低減する効果が評価されました。ペーパーレス化導入の前後で、1年間に変化したCO2相当量(t-CO2/年)が評価されています。CO2排出量は、消費あたりの環境負荷量を用いて、物や電力の消費、移動、オフィスや書庫のスペース、通信等の物量あたりで換算して算出されました。検証を行ったうち半数以上の組織で、年間で50%を超えるCO2削減効果が得られています。 環境対策への社会的関心が高まってきていることも背景にあると考えられます。 |
オフィス移転やレイアウト変更のためのスペース削減
多かったのはオフィスの移転やレイアウト変更のために、書類の保管スペースの削減が必要になりペーパーレス化を進めたいという問い合わせでした。そのため、書類を電子化した後の廃棄を視野に入れた電子化のお問い合わせもいくつかありました。また、廃棄してよいものなのかどうかが不明な書類があり、念のため電子化したいという相談もありました。
廃棄する書類を念のために電子化しておく場合には、電子化の要件をできるだけ少なくすることでコストを低く抑えられます。
電子化コストの費用対効果を高めるには? 電子化のコストを抑える方法とともに解説
コロナ禍に合わせて業務のあり方を見直し、それに合わせて電子化を検討する企業が多かったようです。
業務効率が上がる電子化のポイント
電子データにすると、図面や書類など紙だったものが探しやすくなります。
業務効率化を目的としたご相談で多かったのは過去の書類も含めペーパーレス化して、書類を探す手間を省きたいというものでした。多くのご相談は自部門での書類の使用・閲覧の効率化の検討についてのものでした。
書類を使用している現場部門の方からのほかに、書類を管理している部門の方からのお問い合わせも散見されました。お問い合わせの例として、「他部門から年に数回程度の閲覧依頼があるのだが、対象の資料を探すのが手間になっているために改善したい」というものもありました。
電子化をきっかけに現場部門が直接書類を見られるようにすれば、書類の管理部門の業務負担を減らすことも可能です。
例えば、営業職員が総務部門の職員に依頼して契約書を閲覧しているような状況を想定します。営業職員が直接PCで契約書を見られれば、総務部門の職員は契約書の閲覧依頼への対応をしなくてよくなるでしょう。
また、電子契約や電子商取引、稟議書のワークフローシステムの導入後に、一部の紙運用が残ることもあります。そのような場合に、紙部分の事務が非効率になってしまいます。紙を電子化して、システム化済の分と同じプロセスで処理できれば効率化できます。
書類の電子化はセキュリティ面でも効果がある契約書などが重要文書として書庫で施錠管理下に置かれていることがあります。施錠管理をパスワードによる保護やアクセス制限に切り替えれば、電子化後も厳格に管理体制下に置く事ができます。 |
総務・経理部門や事業開発・経営戦略部門からの問い合わせが多かった
問い合わせいただいた部署、91件の内訳です。回答形式は単数回答です。
問い合わせを多くいただいた上位3つは以下の部署でした。
- 総務・経理部門
- 事業開発・経営戦略部門
- 営業・顧客支援部門
総務・経理部門からの問い合わせの傾向
総務・経理部門ではさまざまな文章を多く保管しているため、お悩みも多種多様です。このようなご相談がありました。
- 大量に保管している契約書を電子化したい
- 電子契約システムを導入することになり、紙の契約書も一元管理できるよう電子化したい
- 健診データや、入社時の履歴書などの個人ファイルを電子化したい
- オフィスの移転を控えていて、移転先の保管スペースが少ないので書類を電子化したい
- 急遽、ペーパーレス化の担当に任命され、何から電子化を始めればよいのかわからない
健診データや個人ファイルなどの従業員の個人情報は、前述のとおり電子化してアクセス管理を適切に設定すると、セキュリティ管理においてもメリットを享受できます。
経営戦略・事業開発部門からの問い合わせの傾向
契約書の電子化の問い合わせが多く、そのほかにアンケート、請求書などの電子化の問い合わせがありました。また、目的として多く挙がったのはスペース削減と業務効率化でした。
まとめ
2022年上半期にペーパーレスが検討された書類は、前回同様に契約関係、技術関係が多い傾向にありました。これらの電子化の目的はスペース削減効果や業務効率化でした。スペース削減の理由として多く聞かれたのはオフィスの移転やレイアウト変更でした。
部門を見てみると、今期は総務・経理部門から最も多くのお問い合わせをいただきました。こちらの部門からは契約書のほか、個人ファイルや健診結果などの電子化の問い合わせがありました。
皆さまのオフィスでも以下のような問題を抱えていないでしょうか。
|
当社ではまずお客さまの書類の利用や保管の状況を伺っています。課題を洗い出し、お客さまに最適な電子化の方法をご提案しています。
また、書類を電子化することになったが、どのように進めればよいかわからないというご相談も承っています。電子化の進め方についてのご相談をいただいたお客さまから、「早い段階で相談したことで、書類の電子化プロジェクトを円滑に進める手がかりを得られた」というご意見を寄せていただいたこともあります。
書類の電子化のことでお困りでしたらお気軽に当社へご相談ください。
スキャニングサービスにまつわるよくある質問も別ページでご紹介していますのでよろしければご覧ください。
※関連記事