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紙文書を電子化したいが何から手をつければよいのかわからない方向け、電子化を進める5つのポイント

コロナ禍に合わせて業務のあり方を見直し、紙文書の電子化を検討する企業が多くなっています。

「社内の紙文書を電子化(デジタル化)することは決まったが、何をどうやって進めていけばよいのかわからない」
自前でやるか、外部委託するかをこれから考えなくてはならない」

そのようなお悩みを抱えていらっしゃるご担当者さま向けに、電子化の進め方をご案内いたします。


なお、紙文書の削減も含んだペーパーレス化の進め方についてをご覧になりたい方にはこちらの記事がおすすめです。

ペーパーレス化したいが何から手をつければよいのかわからない方向け、ペーパーレス化を進める5つのポイント


また、事務所移転を控えている方々にとってか紙文書の削減は重要な課題です。事務所の移転に特化した、紙文書の削減の進め方をご覧になりたい方にはこちらの記事をおすすめします。

移転プロジェクトのご担当者さま向け!移転における文書削減・書類電子化の進め方

目次[非表示]

  1. 1.電子化の進め方
  2. 2.ポイント1 電子化の目的を再確認する
    1. 2.1.省スペース化したいので電子化したい
    2. 2.2.捨てて良いか分からないのでとりあえず電子化しておきたい
    3. 2.3.テレワークでも自宅で確認できるように電子化したい
  3. 3.ポイント2 電子化の対象を決める
    1. 3.1.電子化対象の判断基準
    2. 3.2.対象部門を限定して進める
    3. 3.3.対象文書を限定して進める
  4. 4.ポイント3 自前か、外部委託かを決める
  5. 5.ポイント4 委託先を選定する
  6. 6.ポイント5 見積もりを依頼する
  7. 7.まとめ



電子化の進め方

紙文書を電子化することが決まってから、費用の見積もりを依頼するまでの過程について解説します。

書類の電子化の進める際の、目的の確認から作業開始までのフローー図


  1. 電子化の目的を再確認する
    なぜ電子化をするのか、電子化の目的を明確にします。
    目的や状況によっては、「電子化」より効果的な解決方法があるかもしれません。

  2. 電子化の対象を決める

    電子化する部門や文書など、対象範囲を決定します。
    量が多い場合や範囲が広い場合は、スモールスタートで進めることを推奨します。

  3. 自前か、外部委託かを決める

    電子化を自社で進めるか、専門業者に委託するかを決定します。
    外部委託することが決まったら以下のことを進めます。

  4. 委託先を選定する

    概算見積をとり、その他の選定基準も踏まえて選定します。

  5. 見積もりを依頼する

    スキャナーの設定、階層、ファイル名、付箋や貼付メモの扱いなど、電子化の作業における仕様を決定します。
    決定した仕様に基づいて見積もりを依頼します。
    *スキャナーの設定には解像度、カラー、ファイル形式、ページ設定などがあります。

  6. 業務委託契約を締結する

    契約内容を確認し、契約書を取り交わします。必要に応じて機密保持契約も締結します。

締結後、委託会社にて電子化作業が始まります。




このように電子化を進めるには、業務委託契約の締結までにさまざまな過程があります。当記事では、これら電子化の目的を再確認してから見積を依頼するまでの過程を5つのポイントで解説します。


ポイント 電子化の目的を再確認する

なぜ「電子化」されたいのでしょうか?  …まず、重要なことは電子化の目的を明確にすることです!
以下の理由の場合、電子化より効果的な解決方法があるかもしれません。



省スペース化したいので電子化したい

「紙文書を置くスペースがない」、「紙文書の保管スペースをなくしたい」…省スペース化を図るために電子化したいという場合の解決方法です。

  1. まずは廃棄しましょう!  不要な文書を廃棄するだけで、かなりの量を削減できます。
  2. 残った文書を「電子化する」か「倉庫に移管する」か、検討します。
    倉庫に保管する書類の判断基準が知りたい方は「電子化対象の判断基準」をぜひご一読ください。
    「電子化対象の判断基準」を見る

  3. 電子化後の原本は、不要であれば廃棄、保管義務がある場合は倉庫に移管します。なお、「保管義務はあるが使用頻度が低い文書」、または「ほとんど使用しない文書」は、電子化せずそのまま移管することをおすすめします。



捨てて良いか分からないのでとりあえず電子化しておきたい

ほとんど見ないので捨てたいが、捨ててしまうには不安なのでとりあえず電子化しておきたい…電子化作業は手間費用がかかります。まずは、

  1. 一旦、書庫や倉庫で保管します。その際、保管期限をしっかり定めておき、明記しておくことが重要です。
  2.  保管期限が終了したらそのタイミングで「廃棄するか、電子化するか」を再判断します。



テレワークでも自宅で確認できるように電子化したい

テレワークの推進において、障害となるのは紙の書類です。
紙文書を閲覧するためにわざわざ出社する、という手間を省くために電子化をすすめたいというご相談を受けることがあります。
その際にまず確認するのは

  • その紙文書の使用頻度はどれくらいですか?  
  • どれくらいの方が共有して閲覧していますか?  

ということです。使用頻度共有度が低い場合、電子化の費用対効果が非常に悪くなります。

しかし、「紙文書の劣化紛失などのリスクを抑えたい」といった、原本を使用することで起こる別の課題がある場合は、使用頻度や共有度が低い場合でも、電子化を推奨しています。



ポイント 電子化の対象を決める

電子化の目的が明確になったら、電子化の対象範囲を決定します。
電子化する文書が定まっている場合は、ポイント3の「自前か、外部委託かを決める」に進んでください。



電子化対象の判断基準

電子化の特性から、「電子化の効果が高い文書」、「安全性を確保したい文書」を対象とすることがおすすめです。

  • 電子化の効果が高い文書
    電子化の効果は、情報の共有化検索性の向上、迅速な問い合わせ対応など、業務効率が向上することです。​​​​​​​
    そのため、以下の文書は電子化の効果が高いといえます。

    • 使用頻度が高い文書

    • 共有度の高い文書

    • 検索スピードが求められる文書



  • 安全性を確保したい文書
    使用頻度共有度が低くても、以下に該当する場合は電子化することを推奨します。

    • 閲覧制限があるものの、誰でも持ち出せてしまうリスクがある場合
      例えば、施錠付きキャビネットに保管しているが日中は開錠しており誰でも持ち出せてしまう場合など
    • 申込書など、顧客の意思表明があり営業上の価値が高いが、紛失のリスクがある場合
      例えば、ファイリングミス返却もれが避けられないなど
    • 劣化が激しい文書、古い文書
      例えば、昭和の頃に作成されたぼろぼろの書類など

      ⇒これらの文書は電子化した後、電子データを活用し、原本を保管することで、安全性を確保できます。

      •  バイタルレコード(組織の存続に関わる文書や代替情報が他に求められない文書)
        例えば、「設計図、見取図、品質管理資料など、復旧・代替生産に必要な文書」、「統制、法令遵守、説明責任確保のための文書」、「権利義務確定、債権債務確保のための文書」など(内閣府 事業継続ガイドラインより)

        災害時の水没・焼失から守る必要がある文書は電子化し、データを分散管理、原本は遠隔地で管理することで安全性が確保できます。

量が多い場合や範囲が広くて対象を決められない場合は、対象部門や対象文書を限定して進める「スモールスタート」を推奨します。



対象部門を限定して進める

電子化の効果がある文書を多く持っている部門や、電子化推進のプロジェクト部門など、部門を限定してスタートする進め方です。
はじめに電子化を行う部門での取り組みが社内のモデルケースになるため、ノウハウを蓄積して継承できるのがメリットです。

 例 

対象部門を「本社経理部」と限定し、経理部で入手した紙文書を対象に電子化

  1. 経理部で保有している文書のうち、電子化の対象とする文書を選定するため、調査
  2. 調査結果にもとづき、電子化の対象となる文書を決定

  3. 電子化の作業仕様を決定

  4. 電子化を運用

  5. 一定期間の運用後、効果測定

その後、対象部門を増やして展開していきます。



対象文書を限定して進める

電子化の効果が特に高い文書を選定してスタートします。

電子化の効果が高いため、電子化を推進する上で説得力があり、展開していきやすいことがメリットです。

 例 
対象文書を「契約書」と限定し、本社や各事業部で保有しているすべての契約書を電子化
  1. 「契約書」を保管している全部門に対し、発生から保管までのフロー、運用・保管状況を調査
  2. 電子化の運用方法を検討、運用ルール策定
  3. 電子化の作業仕様を決定
  4. 電子化を運用
  5. 一定期間の運用後、効果測定


その後、対象文書を増やして展開していきます。




ポイント 自前か、外部委託かを決める

次に、紙文書の電子化作業を自社で行うか、外部委託で行うかを決めていきます。
自社で行うと、委託費用がかからないだけでなく、社内にノウハウが蓄積されますし、書類を社外に出さずに電子化できます。
一方で、運用やスタッフ雇用や設備・環境などの準備を自前でやらなくてはならいないというデメリットが生じます。

外部委託の場合は、「委託費用がかかる」、「ノウハウが社内に蓄積されない」といったデメリットはありますが、初期投資が不要で、作業にわずらわされず、短期間高品質なデータを得られます。

自社で電子化する場合と外部委託する場合のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

自社で電子化するか、外部委託か?  メリット・デメリットを解説

双方のメリット・デメリットを踏まえ、自社での電子化と外部委託のどちらに向いているのかを検討します。



 自前でやる場合のポイント 

  • スキャナーを考慮する
    複合機で電子化する場合には、作業者が機器を1日中占有してしまい、通常業務に支障がでてしまいます。また、長時間立ちっぱなしになってしまうことも考えられます。あわせて、複合機が動作する音は思いのほか大きいため、長時間稼働しているとかなりうるさく感じるものです。
    これらの問題は、自席で作業できる卓上の専用スキャナーを用意することや、周囲の席から間隔を空けたエリアを確保することで解決できます。
  • 動線を考慮する
    文書が保管されているキャビネット、スキャナー、作業机の配置が離れていると、作業効率が悪くなります。各々の配置を近づけて効率的な動線になるようにしましょう。
    また、原稿の紛失や対象外の書類の混入を防ぐために、書類を広げるためのスペースは余裕を持って確保することを推奨します。
  • ルール化する
    ファイル名やファイル単位、解像度、モノクロ・カラーの基準、フォルダ階層など作業仕様をあらかじめ定め、明記しておきましょう。誰が作業しても、ミスなく滞りなく進められるようにします。

——社内にノウハウが全くない状態から紙文書の電子化を行うと、大変手間がかかります。

ジェイ・アイ・エムでは、電子化するためのドキュメントセンターの設立を支援するサービスをご提供しています。


      ドキュメントセンター設立支援サービス




——ここからは紙文書の電子化を外部に委託することが決まった場合の以後の流れです。

外部委託にする場合にはその後以下の流れになります。



ポイント 委託先を選定する

紙文書の電子化サービスを扱う事業者は多数あります。法人向けにサービスを展開している事業者の中から、以下のような点に留意して委託先を選びます。

  • 品質
    残念ながら、委託先によっては質が悪いデータが納品されるケースがあります。作業を依頼する前に品質を判断するのは難しいため、品質検査を行っているか、また、品質管理の体制が整っているかなどを確認しましょう。
  • セキュリティ
    委託する紙文書はみなさまの組織の大切な情報資産です。情報漏えいのような事故に巻き込まれないためにも、委託先の選定には注意が必要です。
    プライバシーマークや、ISO/IEC27001など情報セキュリティに関する資格認証を取得していたり、セキュリティ対策をしっかりと実施していたりする事業者を選択しましょう。
  • 価格
    見積価格が、要求している仕様すべて含んでいることを確認しましょう。例えば、ファイル名を付けるための費用が見積もりに含まれていなかったために、後から追加費用を請求される、などといったことがないようにしたいものです。相見積もりをとる場合は各社で、作業における前提条件仕様ばらつきがないかなどを確認することも重要です。
  • 委託可能範囲
    以下のような作業を組み合わせたい場合、複数の会社に委託してしまうと、窓口となる担当者の方の手間が非常にかかってしまいます。なるべく少ない委託先で運用できるように、どの範囲まで対応できるか、委託できる範囲を選定基準にするのもポイントです。
    • 属性情報入力(インデックスデータ作成)
    • OCR処理
    • 廃棄
    • 外部倉庫移管
    • 検索ツールや文書管理システムの提供


ポイント 見積もりを依頼する

正式な見積もりは仕様が確定してから委託会社に依頼します。仕様が確定する前の概算費用の段階で、数社に見積もりを依頼する際は、

  • 電子化費用にどんな項目が含まれるか
  • どんな仕様で電子化をする前提なのか

前提条件を提示してもらうと比較しやすいでしょう。

 電子化にかかる費用の構成 

電子化にかかる費用は、一般的に以下の項目で構成されます。

  • 電子化作業に係る費用
    • 準備作業(ホッチキス・クリップ・付箋はずし、折り込み伸ばしなど)

    • スキャニング作業

    • 画像の検査作業(汚れ・欠け・折れ、抜けがないか検査)

    • ファイル名の付与作業

    • 納品データの加工作業 など

  • 書類の受け取り・返却、成果物の納品にかかる運搬費用

その他、ご要望によって、属性情報の入力(インデックスデータ作成)、OCR処理、廃棄、外部倉庫への移管にかかる費用があります。



見積依頼の方法についてさらに知りたい方は以下の記事で詳細に解説していますのでご覧ください。

書類電子化の見積依頼完全ガイド:簡単な手順と注意点





まとめ

紙文書の電子化をすることが決まったら、まず電子化の目的を再確認しましょう。

次に、電子化する文書が決まっていない場合は、対象とするものを選定します。「使用頻度共有度が高い」、「劣化紛失滅失などのリスクを避ける」、「バイタルレコードの安全性の確保」などの効果が期待できる紙文書を電子化対象にすることをおすすめします。
量が多い場合や範囲が広くて対象を決められない場合は、対象部門や対象文書を限定して進める「スモールスタート」がよいでしょう。

対象となる文書がすでに決まっている場合や、電子化対象が決まった後は、電子化作業自前で行うか、外部委託で行うかを検討します。
外部委託で行うのであれば、品質セキュリティ価格、委託可能範囲に留意して委託先を選びましょう。委託先が決まったら、いよいよ見積依頼です。先に概算費用を依頼するのであれば、数社に見積もりを依頼して、前提条件を提示してもらうと比較しやすくなります。正式な見積もりは仕様が確定してから委託会社に依頼しましょう。


当社ではまずお客さまの紙文書の利用や保管の状況を伺っています。課題を洗い出した上で、お客さまに最適な電子化の進め方をご提案しています。
紙文書の電子化サービスだけでなく、お客さまのドキュメントセンター(自社で電子化を行うセンター)設立の支援にも対応しています。
紙文書の電子化のことでお困りでしたら当社にご相談ください。




書類の保管状況を伺ってから、ご要望に沿ってお見積もりします。
サービスに関する質問などお気軽にお問い合わせください。
「どのように電子化を進めたらよいか」のご相談も承っております。

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