電子化の流れを知ろう!書類の電子化フローまるごと解説
近年、業務効率化の一つの策として注目を集めている「書類の電子化」。手間と時間がかかることはありますが、この取り組みには大きなメリットがあります。物理的な保管スペースを不要となること、情報検索や共有がスムーズになること、そして書類管理が効率化できることなどがその例です。しかし、この「書類の電子化」は、具体的にどのようなプロセスで行われるのでしょうか。今回は、紙の書類から電子データが作成されるまでの一連の流れについて、詳しく解説します。書類の電子化がどのようにして行われるのか、実際の手順に沿って見ていきましょう。
目次[非表示]
- 1.電子化の意味とそのメリット
- 2.電子データができるまで
- 2.1.ステップ1:前整理
- 2.2.ステップ2:スキャニング
- 2.3.ステップ3:画像検査・編集
- 2.4.ステップ4:ファイル名入力・フォルダ階層分け
- 2.5.ステップ5:メディアへの書き込み
- 2.6.ステップ6:後整理
- 3.まとめ
電子化の意味とそのメリット
初めに、「電子化」の意味とそのメリットについて解説します。
電子化とは、紙の書類を複合機などでスキャニングし、電子データに変換することをさします。電子化を行うことによって得られるメリットは多岐にわたりますが、中でも「書類管理の効率化」という課題に対して、電子化は特に大きな効果を発揮します。
まず、電子化されたデータは物理的な保管スペースを必要としないため、それまで書類保存に使用していたスペースを別の目的に活用することができます。また、書類の所在や情報検索もデジタル化されることにより、一瞬で必要なデータを探すことが可能になります。さらに、電子化された書類はいつでもどこでもアクセス可能であり、情報の共有も容易です。
電子化によって書類管理を効率化することは、作業効率の大幅な向上にも繋がり、ひいては企業全体の生産性向上にも寄与する可能性を秘めています。
書類の電子化がもたらすメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
電子データができるまで
さて、多くのメリットがある書類の電子化ですが、実際にはどのような流れでデータが作成されるのでしょうか。スキャニング代行会社では、一般的に、以下のような手順で電子化が行われます。
ステップ1:前整理
書類の電子化の第一段階として、「前整理」を行います。前整理は、書類をスキャニング可能な状態に整えるための準備作業です。主に「書類の物理的な準備」を行う作業と、「仕分け作業」を行う作業の2つに大別されます。それぞれの作業で実施する具体的な内容は、以下のとおりです。
<書類の物理的な準備>
書類を、スキャナーで読み取ることができる状態まで物理的に整えます。主に行うのは、ファイリングの解除、ホチキスや付箋などの取り外し、紙の伸ばし、破損個所の修復の4つの作業です。
- まず、バインダーなどのファイルに綴じられている書類を、ファイルから取り外します。
次に、書類からホッチキスの針やクリップを外します。付箋やメモなどが貼付されている場合は、それも取り外します。
そして、折り込まれた紙を開き、折り目を伸ばします。
最後に、書類に破損している箇所があれば、メンディングテープなどのテープを使用して修復します。
<仕分け作業>
スキャニングをスムーズに進めるため、仕様で定めたファイル単位ごとに書類を分類し、まとめます。また、サイズや装丁の異なる書類が混在している場合は、それぞれの特性に合わせたスキャナーでのスキャニングが必要となるため、使用するスキャナーの種類によっても書類を分類します。
スキャナーと書類の関係:
- ファイルやフォルダなどに収納されている、綴じられていない書類
→ ADF(自動原稿送り装置)付きスキャナーでスキャニングします。
-
契約書などの袋とじされた書類や冊子
→ フラットベッドスキャナー、ブックスキャナーでスキャニングします。
-
A2サイズ以上の図面
→ 図面スキャナー(大判スキャナー)でスキャニングします。
スキャニング作業に先んじて書類を種類別に仕分けておくことで、スキャニングの作業を効率化し、スキャニングミスや書類破損などのリスクを抑制します。
これらの作業を行うことで、書類はスキャニング可能な状態に整えられます。
ステップ2:スキャニング
全ての準備が整ったら、いよいよ「スキャニング」の工程に移ります。
書類をスキャナーで読み取り、画像データに変換する作業です。読み取り条件として、カラー、解像度、データ形式などを仕様に合わせて設定します。
スキャナーの設定が適切に行われていることを確認したら、書類をスキャナーにセットしてスキャニングを実行します。ADF(自動原稿送り装置)付きスキャナーを使用する場合は自動で読み取りを行うことが可能ですが、フラットベッドスキャナーや図面スキャナーなどを使用する場合は、1ページずつ手作業でスキャニングを実施します。
ステップ3:画像検査・編集
スキャニングが完了したら、「画像の検査・編集」を行います。それぞれの工程で実施する具体的な作業は、以下のとおりです。
<画像検査>
スキャニングによって得られた画像を検査し、仕様どおりにデータが生成されているかを確認します。画像の品質は成果物の品質に直結するため、目視での検査のほかに、画像検査ツールなども使用されます。代表的な検査項目としては、以下のようなものがあります。
画像検査の検査項目:
- 画像の欠け、折れ、線やごみ、曲がりがないか
影の映り込みはないか
画像に歪みやかすれ、ぼやけがないか、原紙と比べて色味が変わってないか
画像の向きは適正か
検査の結果、品質に欠けるデータがあった場合は再度スキャニングを実施し、すべての電子データが仕様どおりになるよう作成します。
<画像編集>
画像ファイルの結合などの編集を行います。複数のスキャナーを併用してスキャニングを行った場合、データはそれぞれ独立した個別のファイルとして保存されます。そのため、ファイルの結合を行い、仕様どおりの単位となるようにまとめます。
ステップ4:ファイル名入力・フォルダ階層分け
作成されたデータにファイル名を付与し、それを指定のフォルダ階層に格納します。ファイル名、フォルダ名、フォルダ構成の3点は、データの検索性を高める上で重要な役割を果たします。どのようにデータが普段検索されるかを考慮し、検索がしやすいように体系を整え、設定ルールを定めることが重要です。
データの格納後は、ファイル名やフォルダ階層などの検査を行い、正しい構成となっていることを確認します。
ステップ5:メディアへの書き込み
完成した電子データを、仕様にしたがってメディアに書き込みます。一般に使用されるメディアには、DVD、CD、HDDなどの記録メディアが挙げられます。また、近年では、お客さま指定のクラウドストレージにデータをアップロードする形式で格納するケースも増加しています。
ステップ6:後整理
最後に、「後整理」の工程では、書類を原本の状態に戻す「原本復帰」を実施します。スキャニングを行うために一度解体した書類を、バインダーなどのファイルへ綴じ直したり、クリップを留め直したりして、お客さまに返却できる状態へ整えます。また、電子化後の保管が不要な書類については、原本復帰を行うことなく廃棄処理をする場合もあります。
まとめ
この記事では、紙の書類から電子データが作成されるまでの一連の流れについて、詳しく解説しました。書類の電子化は、いくつもの工程を経て実現される、手間も時間もかかる作業です。しかし、その結果として得られるメリットは計り知れません。物理的な保管スペースの削減、情報アクセシビリティの向上、そして速やかな情報共有の実現など、書類管理の効率化が可能となり、これにより作業効率は飛躍的に向上します。さらに、これらのメリットを十分に理解し、前向きに取り組むことで、企業全体の生産性向上につなげることができます。
この記事が、電子化のプロセスを深く理解し、その導入を検討する際の参考になれば幸いです。
*関連記事
電子化とは何か、詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。この記事では、書類の電子化がもたらす具体的な効果や、ビジネスや日常業務への影響を、実際の事例を通じて詳しく解説しています。
契約書の電子化に特化した具体的な方法をまとめた記事があります。この記事では、契約書を効率的に電子化するための実践的なコツと手順が詳しく解説されています。