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書類電子化の見積依頼完全ガイド:簡単な手順と注意点

紙文書の電子化は、業務の効率化やペーパーレス化を推進する上で欠かせないプロセスです。当社でも、「社内の紙文書を電子化したい」というお問い合わせは近年ますます増加しています。
しかしながら、初めて電子化サービスを利用されるお客さまからは「見積もり依頼をしたいが、どのように相談すればよいのかわからない」というお声も多く頂戴しています。
そこでこの記事では、初めて電子化の見積もりを依頼される方向けに、見積もり依頼の進め方について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.電子化の見積もりを依頼する前に考えるべきこと
    1. 1.1. 1 何をどこまでやるか…電子化の目的を明確にする
    2. 1.2. 2  どの代行会社に依頼するか…解決したい課題や問題点を明確にする
    3. 1.3. 3 いつから電子データを活用したいか…スケジュールを明確にする
    4. 1.4. 4 どの文書から電子化するか…電子化する文書の優先順位をつける
  2. 2.電子化にかかる費用はどのようにして構成されるのか
  3. 3.見積もり依頼時に伝えたい10項目
    1. 3.1.書類の種類
    2. 3.2.数量
    3. 3.3.原稿のサイズ
    4. 3.4.書類(簿冊)の形態
    5. 3.5.書類の状態
    6. 3.6.ホッチキスと付箋の有無
    7. 3.7.電子化に必要な要件
    8. 3.8.フォルダ階層とファイル名
    9. 3.9.納品媒体
    10. 3.10.スケジュール
  4. 4.複数社から見積もりを取る
    1. 4.1. 1 価格競争力の確認のため
    2. 4.2. 2 サービスの品質や実績の比較のため
    3. 4.3. 3 セキュリティ体制の確認
  5. 5.相見積もりの結果を比較する
  6. 6.まとめ


電子化の見積もりを依頼する前に考えるべきこと

紙文書の電子化について見積もり依頼をする前に、まずは以下のようなポイントを考慮することが重要です。

 1 何をどこまでやるか…電子化の目的を明確にする

はじめに、電子化の目的を明確にします。目的は、業務の効率化、スペース削減、情報の検索性向上などと、できるだけ具体的に設定しましょう。文書の電子化によって達成したい目的に応じて、必要となる仕様が変わるためです。
例えば、業務の効率化を目指す場合は、単に書類の電子化だけでなく、各書類の作成日、作成者、内容の要約などといった「属性情報」のリストも作成すると効果的です。一方で、スペース削減を目的とする場合、仕様は書類の使用頻度により変わります。頻繁に使用する書類を電子化する場合は、フォルダ構成・ファイル名を適切に設定することで検索性を容易にします。また、ほとんど使用しない書類は、ファイル単位を大きくすることで作業工程や工数を減らせるため、費用を抑えることができます。
文書の電子化にかかる費用は電子化の方法や必要になる工程、作業工数によって左右されるため、見積もりを依頼する前に目的を明確にし、適切な要件を定義することが重要です。

ほとんど使用しない書類と頻繁に使用する書類それぞれに適した電子化のフォルダ・ファイル構成



 2  どの代行会社に依頼するか…解決したい課題問題点を明確にする

紙文書の電子化を行っている会社は多く存在するため、何を基準に選ぶべきか迷ってしまいがちです。そのような場合には、電子化によって解決したい課題や問題点を改めて明確にしましょう。課題と目的を明確にすることで、何を重視して会社を選ぶべきかが明確になります。

  • 契約書や人事書類のような機密性の高いものである場合
    セキュリティ体制の整備度を重視して会社を選びます。
  • OCR処理やデータ入力、電子化後の書類の廃棄や外部倉庫への移管などの付帯サービスを利用したい場合
    委託可能範囲の広さも選定基準に含めます。
  • 日常の業務で頻繁に使う書類や、機密性が高く社外に持ち出しできない書類など、持ち出しを伴わずに電子化したい場合
    機材とスタッフを派遣し現地で電子化を行う「オンサイトサービス」を提供している会社を選びます。

以上のように、代行業者の選定基準は解決したい課題によって異なってきます。自社にとってより良い代行会社を選ぶためには、解決したい課題を明確にすることが重要になります。



 3 いつから電子データを活用したいか…スケジュールを明確にする

見積もりの依頼に際しては、スケジュールを明確にしておくことも重要です。
電子化の作業期間は、書類の数量や機材の台数、処理能力、そして確保可能な人員数といった作業体制に大きく左右されます。
特に年度末といった繁忙期や閑散期には、機材や人材のコストが変わることも少なくありません。加えて、繁忙期には作業の受け入れが難しくなる場面も考えられます。このような理由から、事前にスケジュールを明確に設定しておくことが極めて重要になります。

電子化の作業期間について、こちらの記事で詳しく解説しています。
事例から紐解く!紙文書の電子化に必要な期間とその要因



 どの文書から電子化するか…電子化する文書の優先順位をつける

膨大な数の文書を一度に電子化しようとすると、想定していた金額から大きく乖離した見積額になってしまうことがあります。電子化したい文書が大量にある場合は、どの書類からどういった順番で電子化していくか、優先して電子化したい文書はどれか等、書類の優先順位をつけておくこともおすすめです。



電子化にかかる費用はどのようにして構成されるのか

電子化の費用は、一般的に「電子化作業にかかる費用」と「書類の引き取り・返却、成果物ご納品の運搬費用」の2つで構成されます。
うち、1つ目の「電子化作業にかかる費用」の中には、以下のような作業項目が含まれます。

  • スキャニング前の書類の整理(ホッチキス・クリップ・付箋はずし、折り込み伸ばしなど)
  • スキャニング作業
  • スキャニング後の書類の整理(ファイル戻し)
  • 画像検査(汚れ・欠け・折れ、抜けがないかの検査)
  • 画像補正(傾き補正、天地左右の補正、リサイズ)
  • ファイル名の付与
  • 納品データの加工(ファイル変換、マルチページ化、フォルダ格納など)

属性情報の入力(インデックスファイルの作成)やOCR処理、電子化後の書類廃棄や外部倉庫への移管、文書管理システムなどの検索ツール提供などは、別途、それらに応じた費用が加算されます。


書類の電子化費用の構成を理解したうえで、コストを抑えるための方法について、以下の記事で詳しく解説しています。
電子化コストの費用対効果を高めるには?電子化のコストを抑える方法とともに解説


当社では、紙文書の電子化だけでなく、属性情報等の入力や、管理するための台帳やツールの作成など、さまざまな付帯サービスを包括した電子化サービスのご提供が可能です。
当社でご提供可能な付帯サービスの範囲について、詳しくご覧になりたい方は以下のページへお進みください。

当社の幅広いサービス範囲




見積もり依頼時に伝えたい10項目

見積もりの依頼は、ウェブサイトから行うことが最も一般的です。書類の電子化を行う各代行会社のサイトには、専用の問い合わせフォームが設けられています。その他には、電話で見積もりを依頼する方法もあります。
見積もりを依頼する際には、書類の状態状況、自社のニーズや予算を詳細に伝えることが重要です。以下に記載している9項目は特に重要な要件となるため、できる限り詳細に、明確に伝えることで、より詳細な見積もりを受けることが可能になります。



書類の種類

契約書、図面、伝票など、電子化したい書類の種類を共有します。



数量

電子化する書類のページ数件数を共有します。書類の量が多く枚数を数えられないときは、ファイルメーター*を活用しておおよその数を算出します。
*ファイルメーター:書類を積み上げたときの高さをメートル単位で測ったもの。1ファイルメーター(㎙)は書類約10,000枚に該当。


裏面にも印字があり、裏面も電子化の対象とする場合、書類1枚につき電子化するページ数は2ページ(2画像)となります。例えば、A4両面印刷の書類100枚を両面とも電子化する場合、実際に電子化する数量は200ページ(200画像)です。このように、「枚」や「ページ」等の数え方を混同すると見積もり額に大きな差が出てしまうため、数量を数える際には注意が必要です。



原稿のサイズ

A4、A3など、文書の大きさを共有します。A2以上の大型の図面を電子化したい場合は、大型図面用のスキャナーが必要となり、代行会社によっては対応できない可能性もあるので注意が必要です。



書類(簿冊)の形態

袋とじされているのか、冊子なのか、ファイルに綴じられているのか、バラバラなのか、など書類の形態を共有します。
ファイルに綴じられている場合は、フラットファイルやリングファイル、クリアポケットファイルやファイルボックスなどファイルの形態も共有します。
冊子の場合は、冊子を解体(断裁)しても良いか、あるいは解体(断裁)禁止なのかなどを共有します。



書類の状態

書類の破れ、折れ、傷みの状態を共有します。書類の状態によっては手置きスキャナー(フラットベッドスキャナー)などで対応する必要があり、見積もり金額が大きく変わる場合もあります。
古い文書である場合はその書類が作成された時期や劣化の度合い、紙の材質なども共有します。



ホッチキスと付箋の有無

書類はホッチキス留めがされているか、付箋が貼られているかどうかも共有します。ホッチキスや付箋の量、また、電子化後に元通り復元するかどうかで見積もり金額が変わってくるため、できるだけ詳細に共有します。



電子化に必要な要件

最終的にどのような形で電子化するか、といった要件を共有します。具体的にはカラー/モノクロ、解像度、ファイル単位やファイル形式(PDF、TIFF、JPEGなど)などの希望を共有します。



フォルダ階層とファイル名

フォルダ構成(階層など)、ファイル名(任意のファイル名)など、納品データの仕様について希望を共有します。



納品媒体

CD/DVD、外付けHDD等、希望する納品の媒体を共有します。自社で保有しているシステムへ直接、登録してもらう方法もあります。



スケジュール

いつ頃から依頼したいのか、納期はいつ頃を希望するかを共有します。



複数社から見積もりを取る

見積もり依頼を行う際には、複数社から見積もりを取り比較する「相見積もり」を行うことをおすすめします。その理由としては、以下の3つが挙げられます。



 1 価格競争力の確認のため

代行会社ごとに設定されたサービス内容とその対価はおのおの異なります。そのため、同じ範囲のサービス内容で比較をすることによって、各社の価格競争力を確認することができます。注意点として、見積もりを依頼する各社には必ず同一の条件を提示したうえで依頼する必要があります。会社ごとに条件の解釈が異なってしまうと、価格競争力を正しく比較して評価することが難しくなるからです。したがって、希望する要件について、明確かつ具体的に明示することが重要です。
また、仕様がほとんど決まっていない場合や、悩んでいる箇所がある場合は、まずは候補となる会社の中から1社を選んで相談してみましょう。その会社に仮の前提条件を設定してもらい、同じ条件で他の会社にも見積もりを依頼します。これによって同一の条件下での比較が可能となり、より適切な代行会社の選択ができるようになります。



 2 サービスの品質実績の比較のため

スキャンの品質は、最終的に納品される成果物の品質と直結します。仕様どおりにデータが作成されているか、画像に折れや欠けなどがないか、作業もれはないか(電子化されていないものはないか)などを確認するため、各社の過去の実績品質管理の体制を確認、比較することが重要となります。代行会社によってはサンプル作成が可能な場合もあるので、活用すると良いでしょう。

スキャンに品質について、こちらの記事で詳しく解説しています。
書類の電子化:価格だけでは見えない“品質”の大切さ



 3 セキュリティ体制の確認


文書の電子化に際しては、機密情報が含まれていたり、個人情報保護法に抵触したりする可能性があるため、適切なセキュリティ体制が整っているかどうかを確認することも重要です。具体的には、作業環境作業体制、書類の運搬時セキュリティ対策などを比較検討する必要があります。


以上のように、複数社から見積もりを取ることで価格競争力サービスの品質セキュリティ体制のチェックを行うことができ、総合的な視点から最適な代行会社を選択することが可能になります。



相見積もりの結果を比較する

相見積もりの結果を比較する際には、単に価格の安さだけで決定しないことが重要です。価格と同等に重要なのがサービスの内容品質であり、品質については画像の品質(汚れや折れ、曲がりがないか)のほか、フォルダ階層やファイル名などは希望した仕様どおりに作成されるか、作業もれが発生しないかなどが重要な確認ポイントとなります。

どれだけ価格が安くとも、スキャンの品質が低い、対応が遅い、アフターサービスが手厚くないなどといった不安点が多い場合は、電子化後の利便性を鑑みてもあまりおすすめできません。一方、価格がやや高めでも、品質が高い、納品スピードが速い、アフターサービスがしっかりしているなどのメリットがあるならば、検討する価値は十分にある選択肢といえます。予算やスケジュールとも照らし合わせて、最も費用対効果に優れていると思える会社を選択すると良いでしょう。

さらに、セキュリティ体制の確認も重要です。電子化する書類の情報が漏洩したり、不適切な扱いがされたりすると大きな問題となってしまうため、提供者のセキュリティ対策を十分に確認しましょう。

複数社から取った見積もり金額に大きな差異が出た場合には、安価になった理由も確認しておくと安心につながります。また、後から追加費用が発生してしまうなどといった事態が起こらないように、要求した条件や仕様がすべて見積もりに含まれていることも確認する必要があります。



まとめ

文書の電子化に際して見積もり依頼を行う場合は、見積もりを依頼する前に目的、解決したい問題利用イメージスケジュール等を考慮しましょう。電子化にかかる費用は基本的に書類の引き取り費用、スキャニング費用、原本の返却・成果物の納品の運搬費用から構成されています。

次に、実際に見積もり依頼を行う際には、書類の種類数量原稿のサイズ形態状態ホッチキスと付箋の有無電子化の要件フォルダ階層ファイル名スケジュール等を代行会社まで詳細に伝えましょう。また、複数社から見積もりを取ることで価格競争力サービスの品質セキュリティ体制を総合的に比較することができます。相見積もりの結果を比較する際は、価格だけでなくサービスの品質内容セキュリティ体制などを検討することが重要です。また、見積もり金額に大きな差異がある場合は、要求した条件や仕様が全て見積もりに含まれていることを確認し、差異の発生した理由を確認すると安心です。

紙文書の電子化は、業務効率化ペーパーレス化の推進のためには不可欠なプロセスです。しかし、その見積もり依頼や相談方法は一見複雑そうに思えます。そのためには、しっかりと目的要件を整理し、費用の構成を理解してから見積もりを依頼しましょう。


当社では、見積もりを依頼してくださるお客さまに、まず書類の利用や保管の状況を伺っています。課題を確認した上で、お客さまに最適な電子化の方法を考慮し提案しています。
当社は書類の電子化サービスだけでなく、管理ツールの開発や、事務作業の代行を包括したBPOを含む多岐にわたる付帯サービスもご提供しています。
書類の電子化に関してお困りの際は、いつでも当社にお気軽にご相談ください。






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