
書類電子化でスペースセービング!スケジュール策定と実施ポイントを解説
オフィスのスペースを有効活用するために、紙の書類を電子化することは非常に有効な方法です。しかし、どこから手をつければいいのかわからない、スケジュール感がつかめないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、スペースセービングを目的とした書類の電子化を効率的に進めるための、具体的なステップとスケジュールを解説します。
目次[非表示]
- 1.スペースセービングにおける書類電子化の全体スケジュール
- 2.ステップ1:事前準備(所要期間2週間)
- 2.1.削減目標の算出方法
- 2.2.ツール選定と担当者の決定
- 2.3.作業仕様の策定
- 3.ステップ2:書類の整理(所要期間2〜3週間)
- 3.1.書類の削減方法
- 4.ステップ3:スキャン作業(所要期間3〜4週間)
- 4.1.スキャンする順番を決める
- 4.2.スキャン時のポイント
- 5.ステップ4:電子化後の運用(継続的に実施)
- 5.1.ペーパーレスの徹底
- 5.2.電子化ルールの策定と定期的な見直し
- 5.3.定期的な廃棄とスペースの最適化
- 6.まとめ
スペースセービングにおける書類電子化の全体スケジュール
スペースセービングに向けて書類の電子化を進めるためには、計画的で組織的なスケジュールを持つことが重要です。しっかりと計画を立てることによって、プロジェクトを効率よく遂行できます。
今回は例として、電子化プロジェクトの総期間を2ヶ月とした場合のスケジュールをご紹介します。プロジェクト発足から電子化までを2ヶ月で完了させる場合、以下のようなスケジュールで進行します。
ステップ |
内容 |
目安の期間 |
1. 事前準備 |
書類の削減目標を明確にし、必要な機材やツールを準備する |
2週間 |
2. 書類の整理 |
書類の削減方法に基づき分類し、不要な書類を処分する |
2〜3週間 |
3. スキャン作業 |
書類を電子化し、不要な書類を処分する |
3〜4週間 |
4. 電子化後の運用 |
電子化後の運用ルールを策定し、スペースセービングされた状態を維持しながら運用を継続する |
継続 |
はじめに、事前準備のフェーズでは、どれくらいの紙を削減したいのか、どの程度の量を電子化するのかといった目標値を明確にし、必要な機材やツールを準備します。電子化にかかる作業期間は「全体のスキャン予定量」÷「一日にスキャン可能な量」で計算されるため、スキャン対象となる枚数が決定しない限り、以降のスケジュールを策定することはできません。また、使用する機材によっても一日あたりに処理可能な枚数が異なってくるため、必ず事前準備の段階で適切なツールを選定しておきましょう。
なお、電子化作業を外部に委託する場合は、代行会社の選定や、電子化作業の要件定義にかかる時間の確保が必要です。
次に、書類の整理を行います。ここでは、先に策定した削減目標に基づいて電子化が必要な書類とそうでない書類を分類し、不要な書類を処分します。書類の重要度や法的要件、活用頻度などに応じて保管/廃棄を適切に選択することで、より高いスペースセービング効果を得ることができます。
その後、実際にスキャン作業を行い、書類を電子化します。電子化後、保存する必要のない不要な書類は処分することで、保管スペースを削減します。
電子化がすべて完了した後は、ペーパーレスの徹底、継続的な電子化の実施、定期的な見直しと書類廃棄など、スペースセービングされた状態を維持し続けるための運用ルールを策定します。このフェーズは継続的に行うもので、電子化後は常にスペースが最適化された状態を保ち続けるための工夫を行いながら、運用していく必要があります。運用ルールは、新しい紙の発生をどうやって抑制していくか、長期的な視野で考えて策定しましょう。
それでは、各ステップの詳細について詳しく見ていきます。
ステップ1:事前準備(所要期間2週間)
スペースセービングのための電子化には、まず、はっきりとした削減目標を設定することが不可欠です。どれくらいのスペースを削減する必要があるのか、どの程度紙を減らしたいのか、など、目標値を明確にしましょう。具体的には、以下のような方法で現状の書類保管スペースを測定し、削減目標を算出します。
削減目標の算出方法
先述のとおり、電子化にかかる作業期間は「全体のスキャン予定量」÷「一日にスキャン可能な量」によって決定します。これを受け、まずは予定している作業期間と現在の書類量を照らしあわせて、どの程度のスペース削減を目指すか決定します。削減目標は、以下の手順で算出します。
- 現在の書類保管スペースを測定する(キャビネットの数、棚の使用率など)
- 目標値(削減量)を設定する(例えば、キャビネット5台→1台に削減、80%削減など)
- 予定している作業期間内に対応可能な目標であるか確認する
まず、現在時点でどの程度のスペースが書類保管に使用されているのか、書類はどの程度の量保管されているのかを測定します。具体的には、キャビネットの台数や、棚の使用率、文書保存箱の箱数、書類を積み上げたときの高さ(ファイルメーター/fm)などを数えることで、おおまかな現状を測定することが可能です。
また、書類の量を測定する際には、以下の収容量を目安として概算を測定してみてください。
- 一般的な5段キャビネットの収容量 : 1台あたりだいたい25,000枚
- 一般的なキャビネット(幅約90㎝)1段の収容量 : 1段あたり5,000枚~6,000枚程度
- 一般的な文書保存箱(幅約40㎝)の収容量 : 1箱あたり3,000枚程度
- 普通紙の書類を積み上げた場合の概算量 : 1cmあたり80枚~100枚程度
現状を把握することができたら、削減目標を設定します。目標値は、例えば文書保管用のキャビネットを5台から1台に削減する、全体の80%の書類を削減する、など、必ず具体的な数値で設定しましょう。数か月後に会社移転を控えている、年度内に目標を達成したいなど、作業期間として費やすことのできる期間があらかじめ決まっている場合は、期間内に対応可能な目標値であるかも確認しておく必要があります。
目標値の設定が完了したら、次に、必要な機材とツールの準備、担当者の決定を行います。
ツール選定と担当者の決定
目標値が確定したら、目標達成のために必要な機材とツールを準備し、担当者を決定します。
このとき、扱う書類の枚数が膨大な場合には、複合機ではなく専用の高速スキャナーを準備することを推奨します。これは、電子化にかかる作業期間が「全体のスキャン予定量」÷「一日にスキャン可能な量」によって決定することから、使用するスキャナーの処理スピードによっては策定したスケジュール内で電子化が完了しない可能性があるためです。
また、複合機は通常の業務でコピーや印刷の機能を多用することが想定されます。複合機をプリンター兼スキャナーとして兼用する場合、都度どちらかの作業を中断しなければならず、作業効率が低下してしまいます。専用の高速スキャナーを準備することで、作業を中断することなく、充分な作業スピードをもって、スキャン作業を実施することができます。
また、Adobe AcrobatのようなPDF管理ソフトや、ABBYY FineReader などのOCRツール、Google Drive、Dropbox、OneDriveなどのクラウドストレージや社内サーバーなど、電子化あるいは電子化後に必要となるツールについても、利用状況にあわせて適切に選定します。
加えて、作業担当者の決定もこの段階で行います。社内にて内製で電子化を行う場合、担当者を選定し、スケジュールを調整します。担当者には、効率的で円滑なプロジェクト進行を担う役割が求められます。
作業仕様の策定
あわせて、電子化の作業仕様についても、この時点で策定しておきましょう。作業仕様を明確に定め、関係者間で周知徹底をすることで、データの品質を標準化することができます。特に、フォルダ階層やフォルダ・ファイル名の命名ルールなどは、作業者によってまちまちになりやすいため、共通ルールの策定を強くおすすめします。
また、電子化作業を外部に委託する場合は、これらの手順に加えて、代行会社の選定や電子化作業の詳細な要件定義なども必要になってきます。委託準備にかかる時間も加味し、事前準備にかかる期間は長めに確保しておきましょう。
★ポイント1:代行会社に委託する場合 外部の代行会社に電子化作業を委託する場合は、目標値の設定が終了した時点で、代行会社の選定を行う必要があります。適切な代行会社を選ぶためには、その会社の実績や経験、保有設備、顧客からの評判などについて、詳細に調査することが重要です。これらの情報をもとに、複数の会社に相見積もりを依頼し、比較して、委託先を選定します。 委託先が決定したら、要件定義と委託準備を行います。まず、電子化の対象範囲と仕様を具体的に設定します。代行会社によってはテストスキャン(サンプル作成)などのサービスを行っている場合もあるので、必要に応じて活用しましょう。 選定から仕様決定などの準備には、通常、1か月程度の期間を見込んでおくほうが良いでしょう。 |
ステップ2:書類の整理(所要期間2〜3週間)
目標値の設定や設備の準備が完了したら、続いて書類の整理を行います。物理的な書類の整理・分類は、スペースセービングにおいて非常に大きな役割を果たす、重要な工程です。ここでは、以下のとおり書類を分類し、整理することで、必要な書類のみをピックアップします。
書類の削減方法
まず、法的要件、業務の利便性、コストなどを考慮しながら、書類を以下の4つに分類します。
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電子化せずに廃棄する書類
法的、または社内の文書管理規程上で保存義務がなく、将来利用する予定もない書類は、電子化を行わずに廃棄します。具体的には、古いメモ、重複して保管されている資料、既に有効期限の切れている書類などがこれに該当します。
これらを適切な方法で速やかに廃棄し、スペースの確保を行います。
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電子化せずに書庫・倉庫へ移管する書類
保存義務があるものの日常的に使用しないという書類は、電子化は行わず、そのまま外部の書庫や倉庫などに移管します。具体的には、保存が義務付けられている文書や、過去の年度会計資料などがこれに該当します。
これらは、長期的な保管を視野に入れた書庫や倉庫に移動させることで、オフィス内のスペースを確保することができます。
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電子化後に廃棄する書類
原本の物理的保管は必須でないが、使用頻度の高い書類は、電子化し、紙は廃棄します。具体的には、業務マニュアルや社内報告書がこれに該当します。
これらの書類は、電子化を行うことで検索性の向上などの効果も見込めるため、電子化のメリットを最大限受けることができる資料であるといえるでしょう。
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電子化後に書庫・倉庫へ移管する書類
使用頻度が高く、保存が義務付けられている書類は、電子化した後、紙は執務室外の書庫や外部倉庫へ移管します。具体的には、契約書、監査報告書、特許関係の資料などが該当します。
電子化によって原本の使用頻度が下がるため、外部の書庫や倉庫の保管が可能となり、オフィス内のスペースをセーブできるようになります。
以上のとおりに書類を整理し、分類することで、現状の紙での保管が本当に必要かを問い直します。場合によっては、業務フロー全体の見直しや、既に倉庫で保管されている書類の整理なども併せて行うとよいでしょう。書類の分類が完了したら、必要な書類を廃棄していないかを再度精査します。
書類削減の目標値に届かない場合は、追加でさらに書類整理を行い、必要な追加措置を講じます。
★ポイント2:削減目標達成のための追加措置 削減目標値に届かない場合には、次のような追加整理を実施します。
他にも、社内で実施しきれない分は専門業者に委託する、一度にすべての書類を電子化するのではなく、長期にわたり継続的に一定量を電子化する、など、電子化の実施方法についての見直しを視野に入れるのも良いでしょう。 また、これらの対策を講じても目標値に届かない場合は、削減目標そのものが現実的でない可能性があります。この場合、目標値そのものを再検討し、より現実的な目標に修正することが必要となります。 |
ステップ3:スキャン作業(所要期間3〜4週間)
ここまでの準備がすべて完了したら、いよいよ書類の電子化作業に移ります。ここでは、スキャン作業を効率的に進めるために抑えておきたいポイントをご紹介します。具体的には、スキャンを行う順番や設定を適切に設定することで、スムーズな電子化が可能となります。
スキャンする順番を決める
まずは、スキャンする書類の順番を決定しましょう。順番を決定する際には、「頻繁に参照する書類」→「書類の種類ごと」の順番にスキャンを行うと、業務の中断を最小限に抑えることが可能です。
スキャン作業を行う際、最優先で電子化すべきは、日常業務でよく使用する書類です。電子データは場所や時間にとらわれず閲覧することができ、検索性にも優れています。使用頻度の高い書類を最優先でスキャンし、電子データとしてすぐに活用できる状態にすることで、スペースセービングのみならず業務効率化などの効果も実感することができるでしょう。その次には、契約書、請求書、マニュアルなど、書類の種類ごとに分けてスキャンを進めると、スキャニング後の整理がしやすくなります。
スキャン時のポイント
スキャンの順番が決定したら、いよいよスキャン作業を開始します。使いやすく、かつ高品質な電子データを作成するためには、適切な設定や整理が重要です。解像度の調整、ファイル名とフォルダ構成のルール策定、OCR機能の活用といった以下のポイントをおさえることで、検索性の向上などが見込め、管理や活用が容易になります。
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解像度の設定
スキャニング実施時のポイントとしてまず押さえておきたいのは、解像度(dpi)の設定です。一般的なビジネス文書の場合、解像度は150〜300dpi程度が最適となります。
解像度は、低すぎると文字が読みにくくなり、情報が失われてしまう危険性がある一方、高すぎるとファイルサイズが大きくなり、サーバーを圧迫してしまいます。書類の種類や文字のフォント、電子化後の書類の活用目的などに応じて、適切な解像度を設定しましょう。
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ファイル名とフォルダ構成の設定
電子データの管理や活用においては、電子化後のファイル整理も非常に重要です。特に、ファイル名とフォルダ構成については、必ずルールを策定しておきましょう。
電子化後の書類の使いやすさは、ファイル名とフォルダ構成によって大きく左右されます。これらを事前に決定し、適切にルールを設定することで、検索性が向上し、管理も容易になります。
ファイル名とフォルダ構成の設定について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
►関連記事:検索性が劇的に向上!フォルダ階層とファイル名の付け方を徹底解説
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OCR機能の活用
電子データをより使いやすくするためには、OCR(光学文字認識)機能を活用すると便利です。スキャン時にOCR(光学文字認識)機能を使用することで、電子化した書類にテキストデータが付与され、テキスト検索や全文検索が可能になります。これにより、書類の検索性が大きく向上します。
ただし、OCR機能は書類の使用頻度が高いほど効果を実感しやすく、反対に低い場合は効果を実感しづらくなります。検索の頻度や文書の種類などに応じて導入を検討すると良いでしょう。
ステップ4:電子化後の運用(継続的に実施)
電子化が完了した後は、スペース削減効果を維持し、業務効率を高めるための運用ルールを確立することが重要です。以下の対策を実施し、継続的にペーパーレスを推進することで、スペースセービングされた状態を維持しましょう。
ペーパーレスの徹底
ペーパーレスは、継続的かつ徹底して実施し、定着させる必要がある取り組みです。業務プロセスの見直しを行い、新たな紙書類の発生を最小限に抑えましょう。例としては、以下のような取り組みが挙げられます。
- ワークフローシステムを活用して書類のやり取りを電子化する
- デジタル優先の業務フローを確立して書類の作成から承認、共有までをすべて電子化する
- 会議資料を電子化してペーパーレスで会議を実施する
- 電子契約や電子請求書を導入して紙の契約書・請求書の発生を抑制する
これらの取り組みを通じて、継続的にペーパーレスを推進することで、スペースが削減された状態を維持することができます。
電子化ルールの策定と定期的な見直し
業務を継続していく中で、紙の書類の発生を完全になくすことは極めて困難です。新たに発生する紙の書類については、定期的に電子化していく必要があります。おすすめは、月次で電子化作業の日を定め、直近1ヶ月で発生した書類を電子化していく方法です。電子化されていない書類が溜まってしまうことのないよう、電子化ルールを策定しておきましょう。
また、一度策定したルールは、運用が開始されてからも、継続的に見直しを行う必要があります。不要な紙書類が溜まっていないか、ファイル名やフォルダ構成などのルールが順守されているかなど、半年に一度は見直しを行いましょう。
定期的な廃棄とスペースの最適化
電子化が進み、ルールが策定されても、書類の整理を怠ると不要な文書が蓄積され、スペースの有効活用が難しくなります。半年ごとに書類を整理し、不要な書類を廃棄することで、保管スペースの最適化を行いましょう。
これらの対策を継続することで、スペースセービングの効果を長期的に維持することができます。
まとめ
スペースセービングにおける電子化のプロセスは、削減目標を明確にし、必要な機材やツールを整える「事前準備」、廃棄・移管・電子化など、対応に応じて書類を分類する「書類整理」、実際に書類を電子化する「スキャン作業」、データの管理ルールを確立し、適切な運用を継続する「電子化後の対応」の4つのステップに分けられます。これらのステップを、本記事で紹介したスケジュールに沿って計画的に進めることで、迅速かつ効果的に電子化を進めることが可能です。
書類を電子化し、ペーパーレス化を推進することで得られるのは、単にスペースセービングの効果だけではありません。書類の検索性が向上することで業務の効率化にも寄与し、さらに、書類の保管量を減らして保管スペースを縮小することで、空いたスペースを会議エリアやリラックススペースなど他の業務用途に活用するなど、オフィス環境の最適化にもつながります。
ぜひ、本記事を活用して、スムーズな電子化とスペースの最適化を実現してください!
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