テレワークの紙問題を解決するなら!書類・資料の電子化の進め方
2020年2月、新型コロナウイルスの感染防止対策として、政府は企業に対しテレワークを実施するよう推奨。大企業を含め多くの企業でテレワークを実施しています。東京オリンピックに向けテレワークを準備していた企業もありますが、そこまでの準備をしていなかった企業も多いのではないでしょうか。
ここでは「書類・資料の電子化」に目的をしぼり、コロナ対策としての電子化の進め方を4つのポイントで紹介します。
テレワーク実施でこのような課題を抱えている方におすすめです。
- 職場にある書類や資料をテレワークで閲覧できる環境になっていない
- デジタル化されていない書類や資料が多い
- 電子化の進め方がわからない
目次[非表示]
急に決まったテレワーク!困ったのは紙が手元にないこと
厚生労働省の「テレワークの導入・運用ガイドブック」や「テレワーク総合ポータルサイト」では、“テレワークを導入するためには必要なプロセスがある”としており、導入のプロセスや推進体制について丁寧な説明がされています。
これらによると、まずはプロジェクトチームを結成し、現状把握(業務分析)→導入に向けた具体的推進(導入範囲、形態、労務管理制度の見直し、社内制度・ルールの整備、システムの準備、文書の電子化、執務環境の整備、教育・研修)→施行導入→効果測定→本格導入、という流れを推奨しています。
ところが今回のコロナ対策では、これらの準備をすることなく、テレワークを実施することを余儀なくされているのではないでしょうか。
そこで発生しているのが「職場にある書類や資料を自宅で閲覧できない」「書類の押印が必要」「デジタル化されていない書類や資料が多い」という“紙にかかる業務”の問題です。また、テレワークを実施していない企業でも、その理由として、「請求書や契約書など書類がデジタル化に対応できていない」ということが多くあがっているようです。
上記のガイドラインでも「文書の電子化」をあらかじめ推進するよう推奨しているくらい、重要なことだと考えられます。
では、テレワークの大きな障害となる紙業務、どうすれば良いでしょうか。
紙問題の解決策「ワークフロー化」と「電子契約」と「書類・資料の電子化」
最近ではほとんどの書類や資料がPCで作成されているのに、紙でなければ確認できないものとはどんなものがあるのでしょうか。
それは主に署名や捺印があるものです。例えばこのようなものがあげられます。
- 営業:見積書や契約書・申込書
- 経理部:請求書など各種伝票類
- 全部署共通:稟議書
<押印や捺印が必要な書類>
押印や捺印が必要な書類は、ワークフローツールを導入することで問題を解決できます。
導入するにあたっては、現状の業務分析を行います。まず、各部署でどんな種類の書類があるのか洗い出しを行います。次に作成者はどこの部門か、どこから入手するのか、承認経路はどうなっているのか、どこの部門が保管するのかなど、書類の流れを明確化します。それらの業務分析を行ったうえで、業務フローを見直し、ワークフロー化の対象範囲や形態、ツールを決定していきます。
<契約書>
また、外部との押印業務で代表的な書類は「契約書」です。これは「電子契約」のツールやサービスを導入することで問題を解決できます。
社内のワークフローシステムを導入する手順と同様に、現状の分析を行います。具体的には、管理している契約書の種類や数量、発生頻度、契約を締結する際の意思決定プロセス、保管している部門、閲覧する部門、閲覧状況などです。現状を明確化し、業務フローを見直し、その上で要件を定義していきます。
<過去に紙で作成されて保管されている書類や資料>
これらの書類以外で問題となるのが、「過去に紙で作成されて保管されている書類や資料」です。過去に作成された書類は、閲覧されることは多くはありませんが、もしテレワークでこれらの書類を確認するために出社している、ということがあるのであれば、これは電子化した方が効率的です。
書類・資料の電子化を進める4つのポイント
書類や資料の電子化を進める4つのポイントを紹介します。
① 電子化する書類・資料を決める
電子化は手間がかかる作業です。外部委託をするにしても費用がかかるため、すべての紙を電子化するのは現実的な解決方法ではありません。まずは電子化の優先順位をつけることが重要です。
書類や資料の電子化も、どんな目的でどのように文書管理していきたいか、方針を定め電子化することが望ましいところです。しかし、コロナ対策ですぐにでも対応が必要ということであれば、テレワークをしているチームやメンバーに、「自宅で閲覧したい書類や資料は何か」、「どの書類を電子化すれば出社しなくてよいか」をヒアリングし、効果がありそうな書類・資料を選定します。
② 小さく始める
全部門を対象に電子化を進めると、使用頻度や使用目的により作業仕様も異なり、始める前に時間がかかってしまいます。まずは部門や業務、書類を絞って進めるのが、スムーズにいく進め方のポイントです。
電子化の対象を「契約書」とした場合、数量が多ければ、使用頻度や閲覧頻度が高い直近の年度から行うと進めやすいです。
③ 電子化したファイルの格納する場所を考える
電子化した後、そのファイルを格納する場所を考えます。いろいろな部門で情報共有したい、多角的に検索したい、閲覧制限を設けたいなど、要件が多い場合は文書管理システムを導入することをおすすめします。
すぐにでもデータを使用・閲覧したいのであれば、ファイルサーバーでも問題ありません。ただし、ファイルサーバーにどんどん保存していくと、検索しづらく、見つけづらくなってしまうこともあります。ファイルサーバーに保存する場合でも、どんなキーワードでよく検索するのか、誰が使用するのか使用状況を確認し、フォルダ階層やフォルダ名・ファイル名の付与ルールをきちんと決めておくことが重要です。
④ 今後の運用も考える
コロナ対策のためのテレワークは感染拡大が落ち着くまでのものかもしれませんが、東京オリンピックや子育て・介護問題を見据えた働き方改革など、テレワークを継続する企業も多いのではないでしょうか。
過去の書類や資料に限らず、日々発生するものの電子化を行う場合は、継続して電子化を行うことが重要です。途中でやめてしまうと、データと紙との併用管理となり非効率となってしまいます。継続して行う場合を想定することも、電子化を進める上で大切なことです。
使用頻度の高い書類・資料は電子化して業務効率化
テレワークの紙問題は、紙での業務を見直し、ワークフロー化、電子契約化することが効果的です。手短なところでは、使用頻度の高い書類や資料を電子化するだけでも、一部の紙問題を解決することができ、テレワークの生産性をさらに高めることができます。
書類や資料の電子化は業務効率化を実現しますが、効果はそれだけではありません。アクセス制限をかけることで持ち出しのリスクも抑制できます。また、電子化済みの紙を倉庫移管することで省スペース化も実現します。
電子化の目的を「コスト削減」としてしまうと費用対効果を算出しづらいものですが、何より「紙に束縛されない働き方ができる!」ということがプライスレスな効果となります。
テレワークの紙問題を解決するために、書類や資料の電子化を進めてみてはいかがでしょうか。
「書類の電子化が業務改善やテレワークなどの新しい働き方にどのように貢献するか」について、具体例を交えた記事もございます。
また、書類の電子化を進めることを決定した後に取り組むべき事項については以下の記事に詳しく解説しています。 |