
紙の図面をPDF化したものの、「どのようなフォルダ設計にするか」「ファイル名をどう付けるか」で手が止まってしまう──そんな悩みは珍しくありません。電子化そのものは進んでいても、フォルダ構成やファイル名のルールが曖昧なままでは目的の図面にたどり着けず、結局「せっかく電子化したのに紙の方が参照されている……」という状態になりがちです。
紙で運用しているときは、キャビネットの場所や箱の位置が手がかりになりました。一方、電子化すると、その役割は「フォルダ階層」と「ファイル名」が担うことになります。だからこそ、電子化の効果を十分に発揮するためには、この二つを整えることが欠かせません。
まずは、フォルダや命名ルールを決める前に、図面がどう使われるかを整理しておきましょう。フォルダ階層・ファイル名を決める際に意識しておくべきなのは、「誰が」「いつ」使うか、という2つの軸です。
❶誰が図面を見るのか
設計部門は図面番号や型式などの設計情報を、現場・施工は案件名や建物名など現場の呼び方を、管理部門は作成時期やフェーズ(設計・施工・竣工)といった区分を手がかりにします。そのため、「誰が図面を見るのか」によって、ファイル名やフォルダ名に含めるべきキーワードも変わってきます。
❷どのタイミングで図面を見るのか
「図面を見るタイミング」によっても、適した整理方法は異なります。例えば、過去案件の参照では案件・物件単位が探しやすく、作業中は最新版にすぐアクセスできることが重要になるでしょう。改修や変更の検討では、履歴が見分けやすい整理法が役立ちます。
図面は保管して終わりではなく、繰り返し参照・再利用される資料です。図面の使われ方が違えば、探しやすい単位も変わります。形式に捉われず、実際の利用に合わせたルール化が重要です。
フォルダ階層の設計では、3つの基本ルールを押さえておきましょう。
次に、ファイル名の命名ルールを策定します。ファイル名は検索や一覧での判別に直接使用されるため、共通の基本要素を揃えるだけで探しやすさが大きく変わります。
図面を扱う部門においてファイル名の基本要素は、「図面番号」、「図面名称」、「図面種別」、「版(Rev)」、「作成日または更新日」などが挙げられます。
この5点をベースに検索の起点になる情報を先頭へ、補足情報を後ろへ並べることで分かりやすい構成ができます。命名や表記順は全体で統一して固定し、表記揺れを抑えることが検索性を保つポイントです。
しかし、フォルダ階層とファイル名は手作業での整理が必要となるため、それだけでは検索性を担保しきれない場面もあるでしょう。その場合、台帳管理やOCRなどで検索性を補完する方法も有効です。Excel等で台帳を作成し管理することで、既存構成を大きく変えずに素早く位置を把握できます。担当者の交代やフォルダ分散が起こる環境での引き継ぎにも有用です。
さらに、OCR処理を行いPDF内の文字を検索可能にすることで、ファイル名だけでは探しにくい図面も見つけやすくなります。ファイル数が多い場合や、図面番号・名称以外の情報から図面を探したい場合には特に有効です。
図面管理の最重要ポイントは、誰もが迷わず辿り着ける「探せる状態」を維持することです。だからこそ、まずは図面を利用する人が同じルールで整理し、同じ方法で参照できる状態を作る、つまり「自社で回る整理」を整えることが肝心といえます。図面は保管するためではなく、活用するための情報資産です。まずはフォルダ階層とファイル名の整備から、運用改善の基盤づくりを始めてみませんか。
図面を電子化した後のフォルダ構成やファイル名の決め方について、詳しい手順を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
図面の電子化に関する具体的な事例や、成功するためのポイントについて知りたい方はこちらを参考にしてください。
図面を電子化するプロセスやサポート内容についてはこちらをご確認ください。
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