
多くの企業が「紙を減らす」という目標のもと、書類の電子化に取り組んでいます。書類の電子化は、スペースセービングだけでなく、業務効率化にもつながる重要なステップです。
しかし、実際には「保管のための電子化」で止まってしまっているケースも少なくありません。中には、デジタルで作成した文書をいったん紙に出力し、それを再びスキャンしてPDF化する──といった、本来のデジタルデータを活かしきれない運用も見られます。その結果、電子化の目的が「保管」にとどまり、業務改善やDXには結びついていません。
こうした、デジタルで作成した文書を紙に出力してしまう運用が生まれる背景には、日本特有の押印・署名文化や法令による保存義務の存在が挙げられます。加えて、監査時に紙書類の提出を求められるケース、ワークフローなどのシステム未整備、さらには「紙のほうが安心できる」といった心理的要因も大きな障壁となっています。これらにより、もともとデジタルで作成された文書が、運用の途中で紙に戻ってしまうのです。
その結果、紙でしか存在しない書類と、もともとデジタルで作成された書類が混在する状態が生まれます。そして、多くの企業では「とりあえずスキャンしてPDFを保管する」という方法で一元化を試みますが、そこで止まってしまうと、データの活用範囲は非常に限定的なものになってしまいます。
電子化したデータを効果的に活用していくためには、以下のような「データと業務の連携」を意識した取り組みが不可欠です。

電子化とあわせてOCR処理やデータの分類・整理等を行うことで、過去資料の再利用や検索・共有が容易になり、ナレッジとしての活用が可能になります。

顧客情報と資料を紐づけて管理することで、顧客対応を迅速化でき、顧客満足度や企業の信頼性の向上にもつながります。

部署間ポータル等、各部署で相互に閲覧可能な場所にデータを保管することで、部署間の情報共有が促進され、組織全体の連携を強化できます。

紙で回覧していた書類を電子化し、システム上で承認履歴や担当者を追跡できるようにすることで、業務の遅延を防止でき、監査対応もしやすくなります。

納品書や請求書といった定型的な文書の情報をシステムに自動連携することで、入力ミスが防止され、作業時間も削減されます。
また、電子化データを活用するためには、他のシステムとの連携も重要です。例えば、契約書のPDFデータを契約管理システムに紐づければ、契約内容の状況を一元管理でき、業務効率が向上します。さらに、設計図PDFとERP(基幹システム)の連携を行うことで、設計情報と生産計画がスムーズに結びつき、効率的な業務プロセスを支える要素として活用可能になります。
ただし、電子化されたデータを有効活用するには、「保存ルールの不明瞭さ」やデジタルデータとアナログ情報の「情報の分断」といった課題への対応が必要になります。これを解決するには、全社的な保存ルールの策定や、横断的な検索が可能な仕組みの導入などを通じて、データを慎重に管理することが重要です。
電子化したデータは、「業務への活用」につなげることで真価を発揮します。書類の電子化はゴールではなくスタートラインです。電子化したデータを「保管」で終わらせず、業務改善やDX推進にどう役立てるかを、次の一歩として検討してみてください。
電子化した書類を、いま本当に業務で活かせていますか?
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