検索性が劇的に向上!フォルダ階層・ファイル名整理で行き詰まった時の考え方

「検索性が劇的に向上!フォルダ階層とファイル名の付け方を徹底解説」では、フォルダ階層やファイル名を工夫することで、ファイルの検索性を高める具体的な考え方を解説しました。実際、一定のルールを決めて運用することで、「探す時間が減った」と感じている方も多いのではないでしょうか。
一方で、整理を進めていくと、次のような壁に直面するケースも少なくありません。
- 新しく作成されるファイルは整ってきたが、過去に作成されたファイルは手つかずのまま残っている
- 新規に作成されるファイルであっても、ルール通りに付与されていないものが混在している
- ファイル名やフォルダ階層を手がかりにしても、そもそも探しきれない文書が存在する
これは、誰かの運用や意識の問題というよりも、ファイル名やフォルダ階層による整理だけでは、どうしても扱いきれない文書が存在する、という構造によるものです。そこで次に考えたいのが、「ファイル名・フォルダ階層の整理だけでは手が届かない文書を、どのように位置づけて捉えるか」という点です。
本記事では、フォルダ階層・ファイル名整理の効果を前提にしながら、整理が進んだ現場で次に浮かび上がりやすい論点を整理し、次のフェーズを考えるための視点を整理していきます。
この記事は、過去に作成され、雑多に保管されている大量のファイルを前に、
- 「どこから整理すればよいのか分からない」
- 「全部をきれいにしなければならない気がして、手が止まっている」
と感じている方に向けた内容です。
すべての文書を同じやり方で整理しきることを目指すのではなく、整えきれない文書は切り分けて考え、「探すときの手がかり」を別に持たせるという考え方を整理します。
フォルダ階層やファイル名の付け方そのものを見直したい方は、先に「検索性が劇的に向上!フォルダ階層とファイル名の付け方を徹底解説」をご覧ください。まず何を整理すべきか、基本的な考え方を整理しています。
フォルダ階層・ファイル名の整理を終えた現場で、何が起きているのか
整理を進めた現場で、よく見られる一つのケース
フォルダ階層やファイル名の整理を進めた現場で、実際によく見られるケースをご紹介します。
特定の部署に限った話ではありませんが、ここでは分かりやすい例として、営業部の資料整理を取り上げます。
私は営業アシスタント部門のリーダーです。
営業部員から「営業部の資料が探しづらい。何とかならないか」と相談されました。
まずは、営業部員が共通でよく使う契約書から着手。フォルダ階層を取引先名ごとに整理し、ファイル名も契約書番号に付け直しました。
ところが、契約書以外の文書については、文書量が多く、ファイル名の付け直しまで手が回りません。
顧客から受け取った資料、提案書、案件に関する資料、他部門と共有している文書については、そもそもファイル名のルールを決めるのも難しく、どう整理すればよいのか分からなくなってきました。
さらに、最近営業部員が直接保存した契約書を見ると、せっかく決めたルールが守られておらず、ファイル名が日付であったり、案件名が入っていたりと、ルール以外の名称で保存されているものも増えています。
整理は進んだはずなのに、この先どう考えればよいのかわかりません。

整理は進んだはずなのに、行き詰まりを感じる理由
このような状況に直面すると、「整理のやり方が良くなかったのではないか」と感じてしまうかもしれません。しかし、フォルダ階層やファイル名を整理する取り組み自体が、間違っていたわけではありません。
フォルダ構成や命名ルールを揃えることで、文書の置き場所が明確になり、探す際の迷いが減る効果があります。
特に、
- 文書の種類がはっきりしている
- 探す切り口が共通している
といった文書については、フォルダ階層やファイル名が、そのまま有効な手がかりになります。フォルダ階層・ファイル名の整理は、文書管理を進めるうえでの土台となる取り組みです。
まずここに着手したこと自体は、多くの現場で自然な判断と言えます。
整理が進むほど、文書の“扱いにくさ”が分かれてくる
フォルダ階層やファイル名の整理を進めていくと、ある時点から、整理の手応えに差が出てくることがあります。
例えば、
- 新しく作成される文書は、決めたルールに沿って整えやすい一方、過去に作成された文書は、量や経緯の違いから同じように扱うのが難しい
- 文書によっては、ファイル名やフォルダ階層だけでは、探す際の手がかりが足りないものもある
こうした違いは、整理が不十分だったから生じているわけではありません。整理を進めた結果として、文書の性質や使われ方の違いが見えてきたものです。そのため、「すべての文書を同じやり方で整理するのは難しい」と感じるようになるのは、自然な流れと言えます。
ここで重要なのは、整理が行き詰まったのではなく、次の考え方に進むタイミングが見えてきた、と捉えることです。
文書を「探し方のタイプ」で分けて考える
前章で整理したように、フォルダ階層やファイル名の整理を進めると、文書によって扱いやすさに違いがあることが見えてきます。ここで重要なのは、「どの文書を、どこに置くか」だけで考えるのではなく、「その文書が、どのように探されるのか」という視点に切り替えることです。
文書には、大きく分けて二つのタイプがあります。
- ひとつは、「文書の種類や探す切り口がはっきりしており、名前や置き場所が、そのまま手がかりになる文書」です。
- もうひとつは、「後から内容や背景を思い出して探されることが多く、名前やフォルダ階層だけでは、探しきれない文書」です。
この違いを意識せずに、すべての文書を同じ整理ルールで扱おうとすると、どこかで無理が生じやすくなります。
例えば、契約書や見積書のような文書は、「取引先」「日付」「文書種別」といった切り口が明確です。こうした文書は、フォルダ階層やファイル名を整えることで、比較的スムーズに探せる状態を作れます。
一方で、提案書や検討資料、顧客から受け取った資料などは、「以前似た内容のものがあったはず」「過去に検討したあの資料を見たい」といった形で探されることが少なくありません。
このような文書は、保存時点で“正解の名前”を決めるのが難しく、ファイル名やフォルダ階層だけに頼る整理には、どうしても限界があります。
つまり、フォルダ階層やファイル名の整理が行き詰まったように感じるとき、必要なのは「整理をやり直すこと」ではありません。
文書を「探し方のタイプ」で分けて考えること。
この判断軸を持つことで、「どの文書に、どこまで整理の手間をかけるべきか」、「次に何を検討すればよいのか」が、少しずつ見えやすくなってきます。
整理しきれない文書は、扱い方を変える
ここまでの整理で、フォルダ階層やファイル名が効く文書は、かなり探しやすくなってきたはずです。一方で、提案書、顧客から受け取った資料、検討途中のメモや資料などは、同じやり方だけでは整えきれない場面が出てきます。
このとき大切なのは、「整理が足りないから、もっと頑張って揃える」ではなく、“整理のやり方を変える”ことです。
フォルダ階層やファイル名は、強力な手がかりです。ただしそれは、探す切り口がある程度決まっている文書で最大の効果を発揮します。逆に言えば、探す切り口が後から変わりやすい文書に対して、保存時点で正解の名前を決め切ろうとすると、無理が出やすくなります。
ここからは、そうした文書を扱うための考え方を整理します。
保存時に細かく整理しない、という考え方
提案書や検討資料は、保存する瞬間には「何が重要になるか」がまだ見えていないことがよくあります。
例えば、次のような探し方が後から発生します。
- 「あの顧客に似た条件で提案した資料があったはず」
- 「以前、同じ課題を扱った検討資料を見たい」
- 「この案件の経緯が分かるやり取りや資料をまとめて見たい」
こうした探し方は、保存時に想定しきれないことが多く、ファイル名やフォルダ階層だけに“正解”を寄せようとすると、命名ルールが複雑になりがちです。その結果、保存に時間がかかったり、決めたルールが使われなくなったりするケースも見られます。
そこで一つの考え方として、保存時は判断を最小限に抑え、後から探せる余地を残すという発想があります。
ここでいう「最小限」とは、例えば次のようなレベルです。
- ファイル名は、日付や相手先など最低限の要素に絞る
- 保存時点で完璧な分類や整理を求めない
このように、保存時に決めることを絞っておくことで、「どこに置くか」「どう名付けるか」で迷う時間を減らし、業務の流れを止めずに文書を残せるようになります。
この考え方は、整理を諦めるという意味ではありません。保存の段階と、後から探す段階を切り分けて設計することで、無理のない形で整理と検索の両立を目指すものです。
探すときに見つかる状態を、別途用意する
保存時に細かく整理しないのであれば、「探すときに、どうやって見つけるか」をあらかじめ考えておく必要があります。ここで重要なのは、フォルダの置き場所やファイル名だけに頼らず、探すときの手がかりを別の形で用意しておく、という考え方です。
代表的な手がかりは、大きく次の3つに整理できます。
1)文書の中身(全文)
ファイル名やフォルダ構成だけで探そうとせず、文書の本文そのものを手がかりにできる状態を用意する、という考え方です。提案書や顧客資料は、後から思い出すキーワードが「タイトル」ではなく「中身」に含まれていることが多くあります。
たとえば、
- 製品名
- 課題ワード
- 型番
- プロジェクト名
- 要求仕様の言い回し
などは、本文に残りやすい情報です。
これらが検索の手がかりになると、保存時に“正解の名前”を作り込まなくても、見つけやすさが上がります。
2)最低限の属性(メタ情報)
すべてを命名規則に押し込むのではなく、「これだけ分かれば探せる」という最低限の属性を、別で持たせるという考え方です。
たとえば実務では、
- 顧客名(または取引先)
- 日付(作成・受領)
- 案件名(ある場合)
- 文書種別(提案書/議事録/受領資料 など)
重要なのは、必須項目を増やしすぎないことです。「これだけ守ればよい」という基準を絞るほど、日常業務の中で運用しやすくなります。
これらの属性が揃っていることで、フォルダ構成に関係なく、「同じ顧客」「同じ案件」といった切り口で文書を横断的に探せるようになります。
3)関連(つながり)
提案書や案件資料は、1つのファイルを単体で探されるよりも、
- 「この案件でどんな資料があったか」
- 「この顧客と、これまでどんなやり取りをしてきたか」
といった“まとまり”で参照されることが多い文書です。
そのため、案件単位や顧客単位といった大きなまとまりでフォルダを作り、その中に細かく分けすぎずに格納する、という整理方法が多くの現場で有効に使われています。
一方で、
① 1つの資料が複数の案件や顧客に関係する
② 案件の切り方が後から変わる可能性がある
といったものは、「どのフォルダに入れるのが正解か」という判断に困ってしまいます。このような場合に重要なのは、“唯一の正解の置き場所”を決め切ろうとしない、という考え方です。
例えば①の場合、どちらかのフォルダに寄せて格納し、別の文脈からはリンクや検索でたどれるようにしておく。
一方で②のように、関係性や切り口が後から変わりやすい文書については、保存時に関係を決め切らなくても、顧客名や案件名、文書の中身といった手がかりをもとに、探したときに関連する文書が一覧で見える状態を用意しておく、という考え方があります。
こうした設計にすることで、存在する文書同士の関係性が複雑な場合でも、フォルダの良さを活かしながら、無理なく対応できるようになります。
何から手を付ければよいか
ここまでを踏まえると、過去に作成された電子ファイルを整理し直す際は、次のような順番で考えると整理しやすくなります。
01 | まずは、契約書や見積書など、整理しやすい文書から手を付ける |
02 | 次に、整理を進める中で、どうしても整えきれない文書があることを受け入れる |
03 | 整理しきれない文書については、無理に揃え直そうとせず、探すときの手がかりを別に用意する、という考え方に切り替える |
まずは整理しやすい文書から手を付け、そこで整えきれない文書が見えてきたら、無理に揃え直そうとせず、考え方を切り替える。
この順番で進めることが、整理を止めずに進めるための現実的な方法です。
<参考:AIを使った検索という選択肢>
文書を「中身」や「文脈」で探すという考え方は、近年の AI を用いた検索手法と相性が良い面があります。例えば、本文を基に内容を要約したり、「この資料と関連する文書」を横断的に探索したりするなど、ファイル名やフォルダ構成に依存しない検索が可能になる場合もあります。
一方で、AI による検索が万能というわけではありません。
AI が文書の内容を正しく扱うためには、単に全文が存在するだけでなく、内容が「理解しやすい形」になっていることが重要です。
例えば、
- 話題や論点が整理されている
- 見出しや構造が明確に分かれている
- Q&A や FAQ のように、問いと答えの関係が明確である
といった文書は、単なる文章の羅列よりも AI が内容を把握しやすく、検索結果の精度も安定しやすい傾向があります。
AI 検索は未整理な文書からも情報を引き出せますが、本文検索や最低限の属性情報が整っているほど検索結果のばらつきが抑えられ、実務で使いやすい形になりやすくなります。AI は、整理の延長線上で検討する一つの選択肢として捉えるのが現実的です。
まとめ:フォルダ階層・ファイル名整理で行き詰ったときの考え方
ここまで見てきたように、フォルダ階層やファイル名の整理は、過去に雑多に保管された文書をすべて整えきれなくても、考え方を切り替えることで、十分に活かすことができます。整理を進める中で行き詰まりを感じるのは、整理がうまくいっていないからではありません。むしろ、整理が進んだからこそ、文書ごとの扱いやすさの違いが見えてきた状態だと言えます。
大切なのは、「すべての文書を、このやり方で完結させよう」と考えすぎないことです。整理を進めた結果、
- 整えやすい文書
- どうしても整えきれない文書
が見えてきたのであれば、それは失敗ではなく、次の考え方に進む準備が整った状態だと言えます。
いま取り組んでいる整理を、そのまま活かす
フォルダ階層やファイル名の整理で整った部分は、無理に作り替える必要はありません。契約書や見積書など、探す切り口が明確な文書は、これまでの整理方法がそのまま有効に機能します。
一方で、提案書や受領資料、検討途中の資料については、「保存時に完璧を求めない」「探すときの手がかりを別に持たせる」という考え方を取り入れることで、無理なく扱えるようになります。
同じ整理ルールを広げるのではなく、整理の考え方を使い分ける。それが、整理を続けるうえでの現実的な選択です。
「次に何を考えるべきか」が見えると、話がしやすくなる
フォルダ階層やファイル名の整理で行き詰まりを感じたとき、「うまくいっていない」と感じる原因の多くは、次に考えるべき論点が整理できていないことにあります。
- どの文書は、これまでの整理で十分なのか
- どの文書は、別の探し方を前提にすべきなのか
この切り分けができるだけでも、部署内やプロジェクト内での説明は、格段にしやすくなります。
フォルダ階層・ファイル名の整理は、ゴールではありません。また、行き詰まりを感じたからといって、整理をやり直す必要があるわけでもありません。いま感じている違和感や手応えの差は、整理が進んだ現場だからこそ現れるものです。その状態を否定せず出発点として捉え、自分たちの業務に合った「探せる状態」を、無理のない範囲で広げていくことが重要です。
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