災害や緊急事態が発生した際、企業の事業継続は大きな課題となります。特に、企業のBCP(事業継続計画)の策定や運用に携わる方々は、災害時に重要書類や情報資産が失われるリスクをどのように軽減するかという課題に直面します。この課題における解決策の1つが「文書の電子化」です。紙の状態の重要書類や情報資産を電子化し、分散管理することで、リスクを軽減することができます。
具体的には、電子化したデータを業務で活用し、紙媒体やデータの複製を遠隔地の別の拠点に保管します。分散管理することで、重要な情報資産が物理的なダメージを受けるリスクが軽減され、情報の安全性が向上します。これらの対策を通じて、情報の損失や破損のリスクを大幅に削減し、重要な書類や情報資産を効果的に保護することができます。これにより、企業は災害時でも迅速に業務を再開でき、事業の持続性を確保できます。
企業には多くの書類や情報資産が存在しますが、すべてがBCPで必要とは限りません。事業継続に必要な文書を特定し、整理することが重要です。事業の継続のために整理することが必要な文書として、中小企業庁が挙げている31の書類を参考に、企業ご自身で必要な文書を選定し、整理しましょう。
部門 | 対象書類 |
経理部 | 直近3期分の決算書、預金通帳(入出金明細の写し)、預金証書の写し、不動産登記済権利証、土地、建物の謄本、会社の謄本、印鑑証明書、損害保険契約書 |
調達部 | 原材料・資機材調達先リスト、得意先・販売先・納入先リスト、代替生産先との契約書、得意先等との契約書 |
技術開発部 | 各機械の設計図書、各機械の仕様書、生産機械の現状写真、竣工図等設計図書、設備機器の仕様書、設備機器の取扱説明書 |
製造部 | 各機械の取扱説明書、生産機械の現状写真、各機械のメーカー修理窓口 |
総務・人事部 | 災害用備蓄品一覧、従業員連絡先一覧、パート・アルバイト一覧、従業員台帳、退職者リスト、社是・社訓・企業理念等、会社案内・パンフレット等 |
情報システム部 | PC・ソフトウェアのバックアップ状況一覧 |
その他部署 | 同業者リスト、ゼネコン・サブコン・保守管理業者等の窓口、現状写真 |
「支援機関(自治体、商工団体、金融機関、士業等)向け 中小企業 BCP 支援ガイドブック」)をもとに株式会社ジェイ・アイ・エムが7つのカテゴリに分類して作成
BCPにおいて文書の電子化は、企業の情報資産を守り、事業の継続を確実にするための重要なステップです。災害が発生した場合でも、事前に適切な対策を講じておくことで、企業は迅速に復旧し、事業を持続させることができます。文書電子化を通じて、企業の持続性と回復力を高めましょう。